米国政治の底流に、保守とリベラルの対立があります。
レーガン元大統領は保守の典型例であるのに対して、
オバマ大統領はリベラルの典型例になります。
レーガン時代、米国は軍事を重視して、
軍事力を通じて国家安全保障を維持するという方針でした。
すると、ソビエトが敵国として描かれ、米国内が一致団結して、
レーガン大統領を支持するということになります。
これに対して、オバマ大統領は、外交を重視して、
国家と国家の対立が戦争に発展しないように調整します。
戦争は、ある日、突然、始まるのではなく、
国家と国家の対立が発展して戦争が始まります。
そして、戦争前夜の国際関係は、経済制裁なのです。
西側諸国は永年、イランに対して経済制裁を課していましたが、
次の段階の制裁はイランに対する武力制裁、
即ち、戦争ということになります。
ところが、去年、2015年にイランと米国は歴史的和解を達成して、
イランに対する経済制裁を解除するとともに、
イランが国際社会に復帰しました。
イラン戦争が起きるリスクがほぼなくなったのです。
また、オバマ大統領は、米国の隣国キューバと歴史的和解を遂げ、
キューバと国交を回復しています(下記の記事)。
キューバは米国本土、特にフロリダ州にあまりにも近いので、
キューバが米国を武力攻撃するリスクは、
国家安全保障上、見過ごせません。
米国は永年に渡ってキューバに経済制裁を課しており、
米国とキューバの間では、輸出、輸入がほとんど止まっていました。
しかしながら、オバマ大統領は、
イランとの関係及びキューバとの関係を大幅に改善することにより、
米国が戦争を始めるリスクを大幅に減らしました。
今年は、米国で大統領選挙があるのですが、現時点において、
誰が次期大統領になるかは分かりません。
ドナルド・トランプ氏については各種報道がされているので、
その政治スタイルは分析しやすいものがあります。
トランプ氏は保守の思想をたびたび公言しているので、
軍事を重視するという方向で国家安全保障を維持すると予想いたします。
ちなみに、ドナルド・トランプ氏は外交に関する資質が
欠けているという指摘はされており、
その典型例がメキシコ国境に壁を構築し、
その費用をメキシコ政府に負担させるという発言です。
仮にトランプ氏が米国大統領に就任したときには、
米国は他国と摩擦を生みやすくなります。
オバマ大統領の訪問目前 キューバ、急ピッチで準備
アメリカのオバマ大統領は来週、キューバを訪問します。現職のアメリカ大統領の訪問は88年ぶりで、首都ハバナでは急ピッチで準備が進められています。
首都ハバナの中心部では、オバマ大統領の車列が通過するとみられる地域で道路が平らに舗装され、老朽化の激しい建物の壁などが塗り直されました。また、レストランでは大統領を歓迎する写真が飾られています。大統領は20日にキューバを訪問し、カストロ議長と会談や夕食会を行います。キューバの反体制派とも面会し、国交が回復した後も政府による弾圧が続くキューバで人権状況の改善を呼び掛けるとしています。