脳波解読と誤報

 

下記の報道は誤報と言いたくなりますし、

更に大学教授の怠慢に呆れかえるだけでなく、怒りすら覚えます。

 

この報道では「母音の識別には成功したことがあるが、

子音の入った単語の識別は聞いたことがなく」

というコメントがありますが、大きな間違いです。


昔から可能だったのですが、

可能なことを大学関係者が知らなかっただけです。

 

脳波から思考を解読するコンピュータは、

すでにNTTが特許を取得しています。

 

特開平2-232783号(特許2515875号)は、

NTTが出願人であり、発明の名称は、

「脳波トポグラフィーによる音節認識装置」です。

 

この装置は脳波を計測して、思考を解読するコンピュータになります。

 

脳波トポグラフィーとは、脳波地図ともいい、

脳の様々な部分における脳波を示します。

 

音節は、「あ」、「い」、「か」、「き」などの音の単位であり、

単語の構成要素です。

 

音節認識装置は、要するに、

音を単位として思考を認識する

ニューラル・ネットワーク・コンピュータになります。

 

このコンピュータでは母音も子音も解読しています。

 

また、スタンフォード大学と南カリフォルニア大学の共同研究グループが、

脳波を計測することにより、

耳から聞いた英単語を解読することに成功しています(文献1)。

 

更に、耳から聞いた文章の解読にも成功しています(文献2)。

 

既に学術論文で報告されており、

技術的に十分に可能な技術なのにもかかわらず、

何度も学会関係者から不可能と断定されたり、

オカルト扱いされているので、

怒りがこみ上げてきます。

 

日本国内で脳科学を専門とする大学関係者が怠慢であり、

何が可能か分かっていないのです。

 

文献

[] Proceedings of theNational Academy of Sciences

December 23, 1997 vol. 94 no. 2614965-14969

Brain wave recognition of words”

Patrick Suppes, Zhong-Lin Lu, and Bing Han
 

[] Proceedings of theNational Academy of Sciences

December 22, 1998 vol. 95 no. 2615861-15866

Brain-wave recognition of sentences"

Patrick Suppes, Bing Han, and Zhong-Lin Lu
 
 

頭の中の言葉、解読に成功 障害者と意思疎通やロボット操作にも応用期待

西日本新聞 14()946分配信

 

 頭の中の言葉、解読に成功 障害者と意思疎通やロボット操作にも応用期待

「頭の中の言葉」を解読する仕組みを解説する九州工業大情報工学部の山崎敏正教授

 頭で思い浮かべた言葉の一部を脳波の変化から解読することに、九州工業大情報工学部(福岡県飯塚市)の山崎敏正教授(58)の研究グループが成功した。グー、チョキ、パーなど選択肢を絞った条件の下、それぞれの言葉が発声時と無発声時でほぼ同じ波形を示すと突き止めた。五十音の一部でも識別に成功しており、今後全ての音の波形を分析できれば、単語や文章の解読も可能になる。

 

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 研究が進めば、障害で言葉を話せない人との意思疎通や、音が伝わらない宇宙空間や水中での通信手段への応用が期待できる。山崎教授は「動けと念じればロボットを操作できるSFのような応用も可能となる」としている。

 

 山崎教授が着目したのは、言語をつかさどる脳内領域「ブローカ野(や)」。前頭葉にあるブローカ野は発声直前に活動を始め、脳が発する信号「運動準備電位」が生じて、脳波に変化を及ぼすことが知られていた。

 山崎教授のグループは、十数人の男女学生を対象に「グー」「チョキ」「パー」の三つの言葉を実際に声に出した時と、頭で強く意識した際の脳波を比較。直前の約2秒間は同じ運動準備電位が起こり、同一の個人であれば、脳波が三つの言葉それぞれでほぼ同じ波形になると判明した。「春、夏、秋、冬」でも同様の結果だった。

 グループは五十音の分析にも着手し、春夏を構成する「は」「る」「な」「つ」は8090%の精度で脳波から識別することに成功した。ただ、同じ言葉でも波形には個人差がある。今後は被験者を増やし、五十音などの普遍的な波形を探るという。母音が少ない日本語は、発音が複雑な英語より信号として解析しやすく、山崎教授は「日本がこの分野で世界をリードできる」とみている。

 脳波の研究に取り組む理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の脳信号処理研究チームリーダー、アンジェイ・チホッキ氏は「独自で創造的な研究成果であり、障害者などが必要としている技術だ。正確な実験を続けて実用化につなげてほしい」と話している。

 

■子音の識別 例を見ない

 堀潤一・新潟大工学部教授の話 脳の活動から言語や動作を予測する研究は欧米で生まれ、国内では約20年前に始まった。手足の上げ下げなど動作をイメージすることに伴う脳波の研究が主だったが、動作は複雑かつ多様で、分析するのは容易ではない。言葉については、母音の識別には成功したことがあるが、子音の入った単語の識別は聞いたことがなく、幅広い可能性を感じる研究だ。

2016/01/04 西日本新聞朝刊=