人間の脳は多数のニューロンから構成されている。


個々のニューロンが隣接するニューロンに信号を伝えているが、

信号を伝えるのを数字の1、信号を伝えないのを数字の0という

数学モデルを構築することができる。

 

人間の脳にニューロンが140億あるとすると、

人間の脳は140億の0と1で動作して、

デジタル信号処理していることになる。

 

このような発想に違和感がある人も多いでしょう。

 

しかしながら、ミクロの世界を追求すると量子力学の世界となる。


水とか空気も分子レベルにまで小さくすると水も空気も連続しておらず、

水分子、窒素分子、酸素分子という最小単位となる。


水分子が一個あるとか、二個あるとか、

数個の水分子がクラスターになっているということが分かる。

 

分子は原子から構成されるが、

原子のレベルとなると水とか空気という性質は却って失われる。

 

人間の思考、感情とか行動はアナログと思われているが、

脳を物質として把握すると多数のニューロンが

協調してインパルスを発射することにより働いており、

信号という観点では、インパルスというデジタル処理をしている。

 
生化学、分子生物学という観点では
ニューロン、シナプスより細かなレベルを解明しており、
ニューロンとかシナプスが動作するしくみは、ある程度、分かっている。
 

例えば、ニューロンの細胞膜に膜タンパク質

(イオンチャンネルと命名されている)があり、

膜タンパク質がナトリウムイオンやカリウムイオンを透過させ

電気信号を伝えている。

これらの膜タンパク質のアミノ酸配列も解明されている。

ナトリウムイオン、カリウムイオンが膜タンパク質を経由して
ニューロンに流入したり流出するのが、
電気信号がニューロンの内部を伝わるしくみである。
 

しかしながら、ニューロンやシナプスに電気信号が伝わるしくみを

解明しても、思考とか感情という人間性の部分は解明できない。


どちらかというと、サルやネコの脳の特定の部位に

ワイヤから電流を流すと、この部位がどのような働きをしているか、

即ち、脳の機能の局在化が解明でき、実際に既に解明されている。

 

脳の機能は局在化しているのだが、

多数のデジタル・シグナルプロセッサーが

並列処理しているというモデルになる。

 

視覚、聴覚などの五感は大脳の視覚野、聴覚野などの

感覚野が担当している。


すると、五感に対応するシグナル・プロセッサーがあり、

一つは聴覚を担当し、一つは視覚を担当する。

 

小脳は運動を制御するシグナル・プロセッサーであり、

具体的には全身の筋肉を制御する。


工場の機械はオートメーションが進んでいるが、

シグナル・プロセッサーが機械の動作を制御している。


同様に、小脳が全身にある多数の筋肉を制御しており、

歩くときはこの筋肉をこの順序で動かすとか、

ボールを投げるときにはこの筋肉を

この順序で動かすというのを制御している。

 

大脳辺縁系は感情を担当するデジタルプロセッサーであり、

特に扁桃体が感情に関する信号を処理する。

 

前頭前野は制御シグナルプロセッサーであり、

多数のシグナルプロセッサーを統合する。

 

脳機能が局在化している数学モデルは、

多数のシグナルプロセッサーで信号が分散処理されていることになる。