音とマイクロ波(3)音響波の発生
 
「音とマイクロ波(2)」という記事で、マイクロ波パルスを水槽中の水に照射して、水中に音響波が発生するという実験について解説しました。水槽中の水は脳組織モデルであり、頭部にマイクロ波パルスを照射しても同様に音響波が発生すると推論している。そして、この音響波の周波数が可聴音の領域にあり、音として聞こえる。
 
さて、そんなことを言っても、本当に脳に音響波が発生するかどうかは分からないという人もいるでしょう。
 
そこで、マイクロ波パルスを実験動物の頭部に照射にして、脳に音響波が発生することが直接、観測されている。外科手術でネコ、ラット、ブタの脳内にディスク形状の小型ハイドロフォンを埋め込み、次にマイクロ波パルスを照射して、脳内に発生した音響波をハイドロフォンで計測したのである[1]。
 
この実験については、「マイクロ波聴覚効果の実験結果」というブログ記事でも取り上げており、リンク先ではマイクロ波のパラメータも言及しています。
 
この実験は、フロリダ州ペンサコーラ米国海軍航空宇宙医学研究所リチャード・G.・オルセン博士、及び、米国イリノイ大学シカゴ校ジェームズ・リン教授が協力して成功しており、1983年に論文が公表さています。
 
2人の著者については、「マイクロ波聴覚効果の実験結果 part 2というブログ記事に記載しています。
 
水槽中の水や頭部が、マイクロ波を音響波に変換する素子として機能していますが、このような素子はトランスデューサといいます。
 
このような変換素子については、
「マイクロ波から音響波に変換」にブログ記事があります。
 
文献
1.Microwave-Induced Pressure Waves in MammalianBrains.
Richard G. Olsen, James C. Lin. 5, May 1983,
IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vols. BME-30, pp. 289-294.