マイクロ波から音響波に変換
マイクロ波パルスが頭部に照射されると、
頭部組織を媒質とする音響波が発生します。
要するに、頭部組織がトランスデューサとして
機能しているということになります。
トランスデューサは工学の専門用語であり、
エネルギーのモードを変化させる素子であり、
例えば、センサーに使われる部品になります。
頭部組織をトランスデューサと表現しているのは、
マイクロ波という電磁波エネルギーが、
音響波に変換されていることを意味します。
ちなみに、マイクロ波を音響波に変換するトランスデューサは、
携帯電話の内部にも使われており、
SAW(surface acoustic wave)フィルターと呼ばれています。
弾性表面波 (SAW: Surface Acoustic Wave)とは
物質の表面を伝搬する音響波を意味します。
さて、マイクロ波聴覚効果の話題に戻りますが、
頭部に発生した音響波の周波数は
マイクロ波の周波数に依存せず、頭の半径に反比例します。
即ち、音響波の周波数は、頭が小さいと高周波になります。
頭がラットのサイズのとき、25~35キロヘルツ(kHz)の
超音波領域の周波数が発生します。
頭が人間のサイズのとき、
7~15キロヘルツ(kHz)の周波数が発生します。
ラット、猫、子供、大人の大きさに近い球体の頭部モデルを使って、
1kW•kgの強度でパルス幅10マイクロ秒で
平面波パルスを照射するという条件で、
頭部に発生する音響波の最大振幅がコンピューターで計算されています。
この計算結果は観測結果と一致します。
参考文献
著者:Lin, J.C. at Univ. of Illinois Univ.,Chicago, IL, USA
タイトル:Hearing microwaves: the microwaveauditory phenomenon
雑誌:Antennas and Propagation Magazine,IEEE