旅券没収・帰国拒否も検討 イスラム国に渡る若者対策

ニューヨーク=金成隆一、奥寺淳20149260841

 

 中東の過激派組織「イスラム国」に欧米などから多数の若者らが合流している問題で、国際社会が対策に乗り出した。国連安全保障理事会が9月24日の首脳級会合で具体的な措置を各国に求める決議を採択し、一部の国は旅券の没収や一時的な帰国拒否といった措置の検討を始めた。今後、各国が関連法の整備などを進める見通しだ。

 

 米政府によると欧米など約80カ国から、1万5千人以上の若者らがシリア、イラクを含む中東地域に渡り、戦闘員になったとみられる。多くが「イスラム国」や国際テロ組織アルカイダ系などの過激派組織に合流した可能性があるという。「イスラム国」に合流した若者らは報酬や住居などを受け取り、武器使用などの訓練を受けているとされる。

 

 過去約70年間で6度目だった24日の安保理首脳級会合で、議長を務めたオバマ米大統領は「彼らが自分の国に戻り、致命的な攻撃を実行しようとした例がこれまでにもあった」と指摘。こうした若者らが帰国すれば欧米でテロを起こす懸念があるとし、早急に対策を取る必要性を訴えた。

 

 首脳らが全会一致で採択した決議は、「イスラム国」の過激思想に感化された者がシリアなどに渡航したり、「ジハード(聖戦)戦士」として訓練を受けた後に自国に戻ったりすることを取り締まるよう各国に要請。資金の移動も制限できるような法律の整備を、国連加盟国に義務づけた。また、テロ集団の動向についての国家間での情報交換を加盟国が促進していくよう求めた。

 

 出席した首脳らは具体的な対策も表明した。約500人が戦闘員になったとみられる英国のキャメロン首相は、テロ行為への加担が疑われる人物に対し、旅券没収や渡航禁止などの適用を強化する考えを示した。重国籍者については、英国籍を剥奪(はくだつ)する措置も活用するという。

 

 フランスでは、テロ目的で渡航するとみられる人物の出国を防ぐ法案が議会で審議される予定。ドイツは、「イスラム国」支援者の会合や寄付、公共の場での「イスラム国」のシンボルマークの使用、インターネットなどを通じた勧誘も厳しく取り締まる方針だ。

 

 オバマ氏は「歴史的な決議だ。決議には法的拘束力があり、加盟国に新しい義務事項を設けた」と評価。各国に、迅速に具体的な行動を取るよう求めた。過激派組織への勧誘行為や渡航のためのお金の工面も防ぐため、違反した者を刑事訴追できるよう国内法の整備も要請した。(ニューヨーク=金成隆一、奥寺淳)

 

イスラム国に合流してテロを実行するのを阻止する必要性があります。

 

一方、私戦予備・陰謀罪を適用して、

被疑者を拘禁するという対策は、

予罪、陰謀が認められる範囲が広範になり、

罪刑法定主義の観点から問題があります。

 

日本法では刑罰として自由刑が科せられるので、

人身の自由の問題も生じます。

 

やはり、イスラム国などに合流して海外でテロを実行するのを

阻止するという法目的を達成するためには、

テロ目的で渡航するとみられる人物の出国を防ぐ特別法で

対処すべきではないでしょうか。


旅券の没収などにより出国を制限すれば

海外でテロを実行するのを防止できます。


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