集団的自衛権容認で大筋合意 公明、文言修正で妥協
2014年6月24日21時45分
自民、公明両党は24日の与党協議で、憲法の解釈を変えて他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにすることで大筋合意した。自民が集団的自衛権の行使を認める閣議決定の原案を示したのに対し、公明はおおむね受け入れた。両党は憲法9条のもとで専守防衛に徹してきた日本の安全保障政策を大転換する。
「平和」を結党理念とする公明は当初、集団的自衛権の行使を認めることに慎重だった。だが、行使容認へ安倍晋三首相の強い意向が示され、連立政権を離れないと決断したことから、限定的な行使を条件に容認することで妥協した。
自民党の高村正彦副総裁は13日の与党協議で、閣議決定原案の根幹に当たり、集団的自衛権を使う際の前提条件となる「新3要件」を公明に提示。「他国に対する武力攻撃が発生し」た際、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること」を条件とした。だが、公明があいまいな部分があるとして納得しなかったため、自民が再考していた。
24日に改めて示された原案では、「他国」を「我が国と密接な関係にある他国」とし、さらに「おそれがある」を「明白な危険がある」と変更。新3要件をより限定する表現にした。
さらに原案では、武力行使について「憲法上は、あくまでも我が国を防衛し、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置としてはじめて許容される」と位置づけた。武力行使を「個別的自衛権」か「集団的自衛権」か区別するのを避け、「自衛の措置」と表現することで集団的自衛権に抵抗感の強い公明に配慮した。
この日の与党協議で、公明からは原案に反対する意見は出ず、幹部の一人は「我々の意見を採り入れており評価できる」と語った。公明はこれまで、朝鮮半島での有事(戦争)など海外での武力行使を日本周辺に限って、集団的自衛権の行使を認める方向で検討していたが、この日の自民の原案で自衛隊の活動範囲に歯止めがかかったと判断。公明は近くこの原案をもとに意見集約する。
だが、新3要件に盛り込まれた「明白な危険」などの表現はあいまいで、ときの政権が何を「明白な危険」と判断するかで、自衛隊の海外での武力行使の範囲が広がるおそれがある。
一方で、政府・自民が検討していた、国連決議に基づいて侵略国を制裁する集団安全保障の際、日本が他国と一緒に武力行使できるようにする案は、公明の強い反対で閣議決定の原案に明記されなかった。しかし、原案では「自衛の措置」としての武力行使は憲法上認められるとの新解釈を打ち出し、集団的自衛権の行使に加え、集団安全保障の武力行使にも憲法上、参加できるとされている。
公明内には、国連のお墨付きがある集団安全保障の名目で、自衛隊が武力行使できる範囲が日本周辺だけでなく世界中に広がるのではないかとの懸念がなお強い。ここに歯止めがかかるかどうかが、自公協議の最後の論点になっている。
■24日の与党協議で高村正彦座長(自民党副総裁)が示した武力行使の「新3要件」
憲法第9条の下において認められる「武力の行使」については、
(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
という三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られると解する。
引用終了
「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が
根底から覆される明白な危険」というのは、
要するに、我が国の存立が脅かされる明白な危険ということであり、
「国体を変革する目的として」いうのと似ていますね。
戦前の悪法、治安維持法1条は、国家体制の変革を目的として
結社を組織する行為を違法としています。
治安維持法は濫用され、天下の悪法とされました。
政治家が、我が国の存立が脅かせるような事態があってはならない、
と言い出したとき、この要件は拡張解釈されることになります。
戦争しない国家が、戦争をする国家に変換することになり、
集団的自衛権の行使を容認する閣議決定は、
日本の戦後史の転換点になります。