豪州シドニーで開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は23日、「今後5年でG20の経済成長率を2%幅超かさ上げする」ことを目指す共同声明をまとめ、閉幕した。G20が成長率の底上げ目標を立てたのは初めて。新興国を中心に減速している景気を引き上げる狙いがあるが、どの程度実効性を持つのかは不透明だ。

 

 各国が構造改革などに取り組むことで、G20全体のGDPを2015年から18年まで毎年0・5%分ずつ増やす。18年の世界経済の成長率は現時点では4%程度とみられているが、これを6%程度まで引き上げることにつながりそうだ。

 

 ただ、各国はそれぞれ自国の成長率を最大限引き上げようと毎年全力をあげている。G20で目標を立てたからと言って、底上げにつながるのかははっきりしない。秋までにまとめる行動計画で、各国がどの程度新たな具体策を盛り込めるのかが問われる。

 

 米国の金融緩和縮小の余波で、新興国からお金が流出し不満が高まっている問題では、G20各国は「互いに、そして対外的に意思疎通する」とし、自国の政策が他国に影響することに配慮する内容を盛り込んだ。(シドニー=細見るい)