1.概要
東芝が特許を申請していることが判明しました。
この出願書類を一瞥しただけでは、テレパシー装置と気が付かないので、
その解説をします。
公開番号: 特開2007-195779
公開日: 平成19年8月9日
発明の名称: 脳内神経活動検出装置、それを用いた脳機能診断装置及び
思考映像表示装置
特許出願番号: 特願2006-18634
特許出願日: 平成18年1月27日 テレパシー装置では、
マイクロ波パルスを人間の頭部に発射することにより、
マイクロ波聴覚効果により脳の聴覚中枢で音声を直接、認識させるとともに、
マイクロ波パルスの反射波から脳波を分離することにより、
脳波から思考を解読して、その人の心の裡を読みます。
下記のブログ記事の続きです。
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2.テレパシー装置の前提;レーダー
(1) 概要
テレパシー装置は、レーダーの応用なので、
レーダーについて、簡単に解説します。
レーダーは、
パルスをターゲットに発射する送信器と
ターゲットで反射した反射波を検出する受信器と、
受信した反射波を解析する情報処理部と
を備えている。
レーダーはターゲットの位置を計測したり、速度を計測したり、
ターゲットのサイズを計測したりする。
テレパシー装置では、ターゲットとして人間の頭部が選定されている。
(2)距離の計測
レーダーが発射するパルスは特定の方向にビームとなって進行する。
その方向にターゲットがあるときには、
ターゲットでパルスが反射して、
レーダーで反射波が検出できる。
パルス及び反射波の速度は、光の速度であり一定である。
そこで、パルスをターゲットに発射した時から、
ターゲットで反射した反射波を検出する時までの時間を計測する。
反射波を検出するまでの時間と光の速度から、
ターゲットまでの距離を計算する。
(2)移動速度の計測
発射したパルスの周波数と、反射したパルスの周波数がわずかに異なっていることがある。
高校の物理で習うドップラー効果であり、
周波数の差異からターゲットの移動速度が計算できる。
(3)情報処理部
レーダーは、情報処理部を備えている。
パソコンなどのコンピュータの心臓部は、中央演算処理装置CPUである。
このような中央演算処理装置を情報処理部と呼んでいる。
情報処理部で、ターゲットとの距離、ターゲットの移動速度を計算する。
3.テレパシー装置の音声送信のしくみ
(1) 音声送信
テレパシー装置から、ターゲットの頭の中に直接、音声を送信することができる。
ターゲットは、携帯電話などの電子機器を所持している必要はない。
レーダーから発射するパルスには、マイクロ波聴覚効果という現象があり、
この現象を応用することにより、音声送信が可能となる。
人間の耳は、音、即ち、空気の振動を電気信号に変換して、
この電気信号が聴覚神経を伝わって、脳の聴覚中枢が音を認識する。
具体的には、人間の内耳で、鼓膜を経由して伝わった振動を電気信号に変換する。
マイクロ波聴覚効果では、レーダーのパルスが頭部を振動させ、
この振動が内耳に伝わり、
人間の内耳が振動を電気信号に変換する。
マイクロ波聴覚効果では、空気の振動、鼓膜の振動が関わっていない。
(2)パルスレーダー
東芝の特許書類には、検出装置から人間の頭部に電磁波を発射することは記載されている。
しかし、この電磁波がパルスであることは明記していない。
レーダーの一種であり、人間の頭部との距離を計測していることから、
パルスレーダーであり、電磁波パルスを発射していることが分かる。
(3)マイクロ波聴覚効果
マイクロ波聴覚効果は、レーダーが発射するパルスで観測される。
マイクロ波聴覚効果は、レーダーが発射するパルスが頭部で相互作用して、
音として認識される現象である。
東芝特許、0049段落では、アンテナ部から生体頭部に向けて照射する電磁波の周波数は、数百メガヘルツから10ギガヘルツまでの範囲で行う旨が記載されている。
この周波数の範囲で、マイクロ波聴覚効果が発現することが判明しているので、
東芝特許の検出装置は、頭部に音声を送信することができることが分かる。
ちなみに、陸上自衛隊、海上自衛隊は、この周波数の範囲で、電磁波の割り当てを
総務省から受けている。
パルス
パルス波形のマイクロ波は珍しく、
レーダーに使われるぐらいです。
ちなみに、ラジオ、テレビ、アマチュア無線などに使われる電波の波形は、
パルスでなく、サイン波(高校の数学で習った三角関数、サインの波形)又は
複数のサイン波を重ね合わせた形状です。
マイクロ波
マイクロ波は、長波、中波、短波より波長が短い電波であり、
波長が1メートルから1mmの電波という人もいれば、
波長が1メートルから0.1mmの電波という人もいます。
一方、マイクロ波聴覚効果を示すマイクロ波は、
波長が1.5メートル(200メガヘルツ)から約4.6cm(約6.5ギガヘルツ)
の範囲です。
(3)マイク
東芝特許では、人間の音声を入力するためのマイクは省略されている。
マイクに入力した音声が電気信号に変換される。
テレパシー装置では、マイクが変換した電気信号により、
電磁波パルスが発射するタイミングを制御する。
電磁波パルスが人間の頭部に照射されることにより、
マイクロ波聴覚効果により、マイクに入力した音声が人間の頭部で
音声に変換される。
東芝特許にここまで詳細に明記すると、
幻聴を引き起こす装置であることが露顕するので、
省略されている。
(4)音声送信の米国特許
レーダー技術及びマイクロ波聴覚効果を利用して、
人間の頭部に音声を送信する装置については、
ストックリン米国特許が取得されている。
ストックリン米国特許は下記で解説されている。
次の記事に続く。
「テレパシー装置の東芝特許 part 2」
関連記事は下記の通り
「テレパシー装置の主要部分の東芝特許」
「テレパシー装置の東芝特許part 1」
「テレパシー装置の東芝特許part 2」
「合成音声;東芝製テレパシー装置が発する音声」
「東芝製テレパシー装置の付属機器;マインドチューン」
参考文献
[1] 可聴性電波、マイクロ波聴覚効果の文献
(1a)「変調された電磁波エネルギーに対するヒト聴覚系の応答」
Allan Frey, J. Applied Physiology, 17:689-692, 1962
http://www.thatte.net/frey.pdf
(1b) E.M.テイラー、B.T.アシュルマン、
「マイクロ波聴覚効果における中枢神経系の関与」、
脳研究、74:201-208、1974
(1c) 「マイクロ波パルスにより発生する蝸牛のマイクロホン電位」
”Cochlear microphonics generated by microwave pulses”
Chou C, Galambos R, Guy AW, Lovely RH
The Journal of Microwave Power [1975, 10(4):361-7]
(1d) 「マイクロ波の可聴;マイクロ波パルスによる熱弾性波聴覚刺激の証拠」
Science 19 July 1974:
Vol. 185 no. 4147 pp. 256-258
"Microwave Hearing: Evidence for Thermoacoustic Auditory Stimulation
by Pulsed Microwaves"
Kenneth R. Foster and Edward D. Finch
(1e)
(1a)「変調された電磁波エネルギーに対するヒト聴覚系の応答」
Allan Frey, J. Applied Physiology, 17:689-692, 1962
http://www.thatte.net/frey.pdf
(1b) E.M.テイラー、B.T.アシュルマン、
「マイクロ波聴覚効果における中枢神経系の関与」、
脳研究、74:201-208、1974
(1c) 「マイクロ波パルスにより発生する蝸牛のマイクロホン電位」
”Cochlear microphonics generated by microwave pulses”
Chou C, Galambos R, Guy AW, Lovely RH
The Journal of Microwave Power [1975, 10(4):361-7]
(1d) 「マイクロ波の可聴;マイクロ波パルスによる熱弾性波聴覚刺激の証拠」
Science 19 July 1974:
Vol. 185 no. 4147 pp. 256-258
"Microwave Hearing: Evidence for Thermoacoustic Auditory Stimulation
by Pulsed Microwaves"
Kenneth R. Foster and Edward D. Finch
(1e)
文書作成日: 1999年6月
文書作成者: 世界保健機構
文書の標題: 電磁界と公衆衛生:「レーダーと人の健康」
該当ページ: 4ページ
立証の趣旨: 200メガヘルツから6.5ギガヘルツ(6500メガヘルツ)までの周波数の電波は、パルスとして、人間の頭部に照射すると、
ザーザー、カチカチ、シューシュー、ポンポンなど様々な音として聞こえること。
この文献については、「レーダーと人の健康:レーダーで幻覚を発生する生理機構」
という記事で解説しています。