今週行われたクリントン米国務長官と中国首脳との会談では外交問題の解決に向けた進展がほとんど見られなかったが、クリントン氏は両国の関係が意見の相違に耐えられるだけ十分に成熟していると述べ、前向きな成果を強調した。
クリントン国務長官は11日間かけてアジア・パシフィック地域を歴訪しており、6日には東ティモールとブルネイを訪問した。
中国の政治的影響力を抑制するためにこれら小規模国家を訪問していると批判されていることについて、クリントン氏は「どの国とも対立する意図はない」と述べ、批判の鎮静を図った。
これに先立って、週前半には北京で中国首脳と会談したが、シリアの内戦問題や中国と周辺諸国の間で持ち上がっている南シナ海の領土権問題など、重要な懸案事項について歩み寄りはみられなかった。
しかし、クリントン氏は中国首脳との会談について、「意見が異なる場合でも、今では率直に話し合いをすることができる」と語り、難しい問題についても基本的な関係を損なうことなく議論できると強調した。中国の楊潔チ外相はクリントン氏との協議を建設的だったと述べた。
11月にはカンボジアのプノンペンで東アジアサミットが予定されており、米国はここで領有権問題について、あらためて中国に対し同国が拒否している多国間協議を求めるとみられている。
ブルネイは来年、米国が中国に対するけん制役として期待するASEANの会議のホスト役を務める予定になっている。ブルネイも南シナ海で中国との間に領土紛争を抱えるが、その一方、石油やガスの共同開発を進めており、領海問題での経験が役立つのではないかと期待されている。
クリントン氏に同行する国務省幹部は、緊張緩和の兆しは見えないと認め、「こうした問題についての緊張がさらに高まることに備えなければならない」と述べ、「これがあらたな常態だ」との認識を示した。
一方、同幹部は、東ティモール訪問については、10年前インドネシアから独立し、今年は民主的に選挙を実施した同国の著しい成長を確かめることが目的と述べた。米国は東ティモールの戦略的重要性を高めるみられる同国のASEAN加入を支援している。
クリントン国務長官の次の訪問先は、アジア太平洋協力会議(APEC)の会合が開かれるロシアのウラジオストク。