■沖縄の尖閣諸島、なぜもめてるの?
 アウルさん 最近、尖閣諸島のことでもめてるよね。どんな島なの?
 A 最大の魚釣島(うおつりしま)と久場島(くばしま)、南小島(みなみこじま)、北小島(きたこじま)の4島のほか、魚釣島から100キロ以上離れた大正島(たいしょうとう)や岩礁群で、総面積は約5.5平方キロ。1895年、当時の明治政府が自国領として正式に沖縄県に組み入れた。
 ホー先生 だれも住んでいなかったのか。
 A 明治政府はその10年前から現地を調べ、無人島であること、中国(当時は清)を含むどの国にも支配されていないことを確認した。日本政府は「国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致している」と考えている。
 コブク郎 ずっと無人島のままだったの?
 A ちがうよ。1896年、大正島以外の4島が民間人に貸与され、1932年にはその親族に払い下げられた。一時は約250人が住み、かつお節の製造業などが営まれた。40年ごろに再び無人島になった。今も4島は民有地で、大正島だけが国有地なんだ。
 ア どうして中国は自分たちの領土だと言っているの?
 A 中国外務省が8月24日に発表した談話では、「釣魚島(ティアオユイタオ=尖閣諸島の中国名)は中国人が最も早く発見し、命名、利用してきた」と言っている。その中で、1403年の資料にすでに「釣魚嶼(ティアオユイユイ)」との記載があるとも説明し、領有権を訴えている。
 ホ ホホウ。
 A さらに中国は、尖閣諸島は台湾の一部だと主張している。日清戦争(1894~1895)で日本に奪われたとしており、日本は1945年にポツダム宣言を受け入れて無条件降伏したのだから、台湾と釣魚島などの付属する島々は中国に戻ったはずだと言うんだ。
 コ 日本の立場は?
 A 日本と米国など48カ国が結んだサンフランシスコ平和条約が52年に発効し、日本の主権は回復した。尖閣諸島は米国の施政下に置かれることになり、72年の沖縄返還の際、南西諸島の一部として日本に戻った。つまり、この条約は尖閣諸島を台湾の一部とは認めていなかったんだ。
(以下、省略)

コメント
日本が尖閣諸島に領有権を主張している。
一方、中国も尖閣諸島に領有権を主張している。
尖閣諸島の領有権を判断するときには、
歴史的事実に国際法を適用することになる。

Aさんとそのお隣のBさんとが、土地の境界について、
紛争が生じた場合、お互いの話し合いで解決しないときには、
訴訟を提起して、裁判所が境界を判断することになる。

国家と国家が国境について紛争が生じたときも、同様であり、
外交を通じて解決しないときには、
国際司法裁判所が判断することがある。

まず、事実を立証した後、国際法を適用することになる。
1885年~1895年頃より以前に、清国が尖閣諸島を実効支配していたか否かが
問題になる。

中国は、1368年~1644年の明代には、中国の海上防衛区域に尖閣諸島が含まれていた、と主張している。
そこで、海上防衛区域を示す証拠に基づいて、中国が尖閣諸島を実効支配していたと認定できるかが争点になる。

国際法の観点では、
サンフランシスコ平和条約2条は、日本が放棄した領土を規定しているところ、
サンフランシスコ平和条約2条の解釈が問題になる。

現代の国際法、特に、国際連盟が成立した時代頃から、
征服により領土を拡張することは認められていない。

大日本帝国が1895年に日清戦争に勝利したことにより、
台湾などと一緒に尖閣諸島の領有権を獲得したと認定された場合、
19世紀後半の国際法では征服により
領土拡張は認められていたと主張は可能である一方、
征服により拡張した領土は返還しなければならないという主張も可能である。