2012年の国会で、日本政府が、偽造品の取引の防止に関する協定(通称、ACTA)の締結について、国会に承認を求めている。

2012年8月3日に参議院で承認され、
8月29日に衆議院外務委員会で審議された。

ACTAは、商標権、著作権などの知的財産権の保護の実効を図るものである。

具体的には、民事裁判における損害額の算定(9条)など、
税関における偽造品、模倣品の輸出、輸入の取り締まり(16条)、
商標権、著作権の刑事罰(23条、24条)、
インターネットのようなデジタル環境における取り締まり(27条)
などが規定されており、
知的財産権の侵害を国際的に防止するものである。

ACTAの条文は外務省のサイトで閲覧できる。



インターネットでは著作権の侵害が横行しており、刑罰まで規定された場合、
著作権を侵害した個人が刑事罰を問われることになるので、
反対している人も多い。

ACTAの反対理由として基本的人権を侵害するという主張は、

著作権などの侵害に刑罰が課されて、拘置所、刑務所に行くことは、

人身の自由という基本的人権の一種が侵害されるということである。



中国などが、日本のアニメ・キャラクターなどを模倣していると非難している
人達は多い。

ACTAが発効した場合には、このような模倣を阻止しやすくなる。

アップルがサムソンをスマートフォンの特許権の侵害で訴えたところ、
2012年8月31日、東京地方裁判所は、
サムソンが特許権を侵害していないと判決を下した。

ACTAが国内法になった場合、特許権の侵害が若干、認められやすくなる。

知的財産権の保護という観点では、ACTAは歓迎である。

しかも、日本がACTAを批准するための国内法の整備は既にほとんどされている。

例えば、平成24年の通常国会で著作権法が改正され、
著作権を侵害する音楽、動画の著作物を違法にダウンロードして保存する行為に
刑事罰が導入されている。

平成24年10月1日から著作権改正法が施行されるのは、
ネットでは大騒ぎになっていた。

平成23年にサイバー刑法と称して、情報処理の高度化等に対処するための刑法などの一部を改正する法律が制定されている。

サイバー刑法では、コンピュータ・ウィルスに関する刑罰が導入され、
更に、刑事訴訟法も改正され、インターネット環境での保全手続きが
改正されている。

これらの刑事訴訟法の手続きは、インターネットで商標権、著作権が侵害されたときに捜査する手法になる。