国際法に基づいて、竹島の領有権を判断してみます。
下記は、朝日新聞デジタルから引用していますが、
この事実について国際法を適用します。
なお、事実の認定が異なると、結論が代わるときがあります。
引用開始
〈ニュースがわからん!〉竹島問題
■竹島問題、なぜおさまらないの?
ホー先生 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に行ったな。
A 野田佳彦(のだ・よしひこ)首相も玄葉光一郎(げんば・こういちろう)外相も「日本の立場と相いれない」と強く抗議しているよ。
ホ ホホウ。
A 韓国では竹島を「独島(トクト)」と呼び、韓国固有の領土だとしている。しかし日本政府は、歴史的にも国際法的にも明らかに日本固有の領土で、韓国が不法占拠(せんきょ)しているという立場だ。
ホ 対立しているのか。
A 日本にとって李大統領の竹島上陸は、不法占拠されている領土に、その国の最高指導者が堂々と足を踏み入れるということを意味する。これは絶対に受け入れられないんだよ。
ホ 韓国が不法占拠しているんじゃな。
A サンフランシスコ平和条約は日本が放棄すべき領土に竹島を含めていなかった。ところが、発効直前の1952年1月、韓国は当時の李承晩(イ・スンマン)大統領が一方的に海上に線を引き、竹島を韓国側に取り込んだ。この線はその後、取り消されたが、警備隊を常駐(じょうちゅう)させ、実力支配が続いている。
ホ もともとは?
A 日本は遅くとも江戸初期には領有権を確立したと考えている。日本政府は1905年の閣議決定で島根県に編入したんだ。一方で日本はこの年、韓国の外交権を奪(うば)い、5年後に併合(へいごう)した。だから韓国では「島を奪い取られた」とみている。竹島問題は、韓国人の愛国心や反日感情をかきたてるんだ。
ホ 日本はどう対応してきたのか。
A 54年と62年に、国際司法(しほう)裁判所(ICJ)で判断してもらおうと呼びかけた。だが、拒まれて実現しなかった。裁判に持ち込もうとすると韓国側が猛反発するから、日韓関係に配慮して棚上げしてきたんだ。
ホ そんな中での大統領上陸なんじゃな。
A 玄葉外相は「配慮は不要になった」と言って、ICJへの提訴を検討すると表明した。互いに引くに引けない状況になりつつあるんだ。(東岡徹)
引用終了
サンフランシスコ平和条約では、ウルルン島などは韓国に返還する旨の規定はありますが(2条)、竹島は韓国に返還する旨の規定はありません。
韓国は、サンフランシスコ平和条約に署名していないだけでなく、
サンフランシスコ平和条約で定めた国境について同意していないので、
サンフランシスコ平和条約の規定では、竹島の領有権は定まらないのです。
一方、戦争などの武力行使により、領土を獲得する方法は、
現代の国際法では容認されておらず、征服により獲得した領土は、
返還することが求められます。
国際法には、慣習によりルールが定まっていることが多く、
それが後に多国間条約として、ルールの体系が明確化されます。
征服により拡張した領土の返還は、国際法の明文の規定というよりは慣習です。
さて、経緯に戻ると、1965年6月22日、日韓基本条約が調印されました。
日韓基本条約2条は、
1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結された
すべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される、
と定めます。
1910年8月22日に韓国併合に関する条約が調印され、
朝鮮が日本の植民地になりました。
日韓基本条約2条は、韓国併合が法的に効力がないことを規定しているだけでなく、
日露戦争から韓国併合に至るまでに日本が韓国に譲歩を迫った
第一次日韓協約から第三次日韓協約も法的効力がないことを規定しています。
1904年8月に締結した第一次日韓協約では、韓国政府は、日本政府が推薦した顧問を外交、財政に招聘して、外交上の重要案件は事前に日本政府と協議のうえ決定することを義務つけた。
1905年11月に締結した第二次日韓協約では、日本は韓国政府のすべての外交権を奪い、韓国総督府の下においた。
1907年7月に締結した第三次日韓協約では、日本は韓国の内政権を奪い、司法、警察権も掌握した。
日韓基本条約2条の規定により、第一次日韓協定から第三次日韓協定も無効と解されます。
日本は、1905年の閣議決定で、竹島を島根県に編入しています。
竹島を島根県に編入した時期は、第一次日韓協定から第三次日韓協定が締結されている時期と合致します。
また、竹島の領有権が日本にあるか、韓国にあるかは、日本と韓国の外交に委ねられるものですが、日韓協約により、当時の韓国には外交の権能が制限されていました。
日韓基本条約2条は、日露戦争から韓国併合まで、日本が朝鮮を植民地化するために締結した条約、協約を無効と定めている趣旨に鑑みて、竹島を島根県に編入した行為は無効と解されます。
従って、国際法の観点からは、韓国に独島(日本名、竹島)の領有権があると解されます。
備考
コメント欄に質問があったので、コメント欄に回答する代わりに、
第一次日韓協定から第三次日韓協定について補いました。