日本政府、スワップ枠縮小か-
竹島問題への対抗措置
【東京】野田佳彦首相は21日、関係閣僚会合を開き、李明博韓国大統領の竹島(韓国名・独島)訪問に対する対抗措置を決める可能性がある。日韓外貨融通(スワップ)協定を縮小すれば、経済問題を領土問題から切り離すという従来の立場から踏み出すことになる。
ただアナリストの間では、首相がスワップ枠を縮小したとしても、両国経済に与える影響は限られたものになるとみられている。
一方、野田首相は、中国が領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題については、早期収拾を図ろうとしており、野党は首相の対中姿勢は軟弱すぎると批判している。香港の活動家が先週、尖閣諸島に上陸したのに対抗して、日本の活動家が19日同諸島に上陸した後、中国では各地で反日デモが発生。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英字紙)は20日、「中国が成長を続ける限り、その国力が日本を屈服させる切り札となる」と論じた。
(中略)
一方、日本にとって韓国は中国、米国に次ぐ第3番目の日本製品輸入国だが、韓国が日本製品の輸入を減らしても、韓国の日本からの輸入品の多くが日本企業の工場に送られる中間財のため日本には大きな影響を与えないと、エコノミストらはみている。ただし、中国の場合は別で、第一生命経済研究所主席エコノミストの永浜利広氏は、中国は日本メーカーの工場というよりも日本製品の消費地としての重要性が徐々に高まっていると指摘、「同じことが中国で起きれば日本に及ぼす影響ははるかに大きい」と述べる。
第二次世界大戦後、米国とソビエト連邦は、冷戦状態となって、国際政治の舞台で互いに対立した。
1990年代にソビエトは、ロシアなどに分裂し、米国は冷戦に勝利した。
米国が冷戦に勝利した一因は、経済力の格差である。
ソビエトは、国家予算に軍事が占める割合が高く、軍事技術は極めて高い水準を維持していた。
その代償として、ソビエトでは民生部門の成長が遅れており、国家全体の経済成長が鈍化しており、軍事予算を維持しきれなくなった。
翻って、日本では、バブル崩壊後、経済成長率が1%前後で低迷しており、
デフレ経済からなかなか脱却しない。
日本経済に占める割合が小さい漁業、商業的に採算が合わない深海の地下資源を理由として、竹島、尖閣諸島などの領土問題を争っても、経済成長に資することはない。
日本政府が、韓国に供与するスワップ枠を縮小した場合、韓国ウォンが通貨変動に曝されたとき、韓国経済にダメージが起きる可能性が大きくなる。
日本政府が、竹島問題に対する報復として、
韓国に供与するスワップ枠を縮小した場合、
韓国政府が、日本政府に対して、何らかの経済制裁を課す可能性がある。
両国が互いに経済制裁をしても、両国の経済成長を阻害するだけである。
軍事力により、領土を拡張することができない現代では、
国家の経済力が、軍事力より重視される。
領土問題より経済成長を重視することが望まれる。