【東京】日本が領有していることに中国、台湾が反対している尖閣諸島(中国名・釣魚島)に19日、日本の活動家が上陸し、一方で中国各地では反日デモが発生し、日中間の緊張が激化している。野党から早期総選挙を迫られている野田佳彦首相は、新たな難題を抱えることになった。
尖閣諸島をめぐる日中紛争は、同諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、日本が同船の船長を逮捕した2010年以来のナショナリズムの高まりをみせている。
海上保安庁によると、19日に尖閣諸島周辺海域で行われた慰霊祭に参加していた10人の日本人が巡視船の警告を無視し、泳いで尖閣諸島の魚釣島に上陸した。これら10人は、戦時中に同諸島沖で沈没した疎開船の犠牲者を洋上で慰霊するため漁船に乗り込んでいた約150人のグループのうち一部。先週には、香港の活動家らが尖閣諸島に上陸し、日本政府は17日に強制送還している。
150人のグループのうち一部。先週には、香港の活動家らが尖閣諸島に上陸し、日本政府は17日に強制送還している。
日本人活動家の上陸を受けて、中国のいくつかの都市で反日デモが発生した。広東省深セン市では約1000人がデモに参加し、中国国旗を掲げ街の通りを行進、何台かの日本車が破壊された。国営新華社通信によれば、広東省広州ではデモ隊が日本の領事館の正面で座り込み、瀋陽でも日本の領事館を標的としたデモが行われた。
一方野田政権は、韓国と領有権を争っている島根県の竹島(韓国名・独島)を李明博韓国大統領が訪問したことをきっかけとした日韓対立をめぐって、韓国へ の圧力を強めている。李大統領は竹島訪問後に、天皇が訪韓するならば、独立運動で亡くなった人たちに真の謝罪をすべきだと述べ、これに日本側は異例の 激しさで反発。今週行われる予定だった日韓財務相会談をキャンセルし、日韓外貨融通(スワップ)協定の破棄の可能性に言及している。さらに、竹島の帰属問 題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する意向を表明した。韓国側はこれには応じない考えを明らかにした。
前原誠司民主党政調会長は19日のテレビ番組で、「李大統領が在任中は韓国との関係を好転させるのは難しいのではないか」と語った。
外交問題専門家らは、日韓関係の悪化には国内政治が少なくとも一部影響しているとの見方を示している。韓国のアナリストは、李大統領の強硬姿勢はいわゆる歴史問題について進展がないことへのいら立ちや、低迷している支持率を上げたいとの期待を反映していると見る。
野田首相も強硬姿勢を示すよう圧力を受けている。野党は、首相の領土問題に対する姿勢を批判しており、尖閣諸島に上陸した香港の活動家を起訴せず強制退去としたことを激しく批判している。
コメント
日本と中国の関係、日本と韓国の関係は、長期的な展望により構築することが求められ、偏狭なナショナリズムによる国民感情の影響は少ないことが望まれる。