2012年に「外事警察」という映画が日本で公開された。
外事警察のモデルは、警視庁公安部外事課ではなく、防衛省情報本部及び情報保全隊である。
映画では、核テロリズムの阻止がテーマである。
現実に核テロリズムの阻止となると軍事行動の側面を帯びるので、通常の警察活動の範疇を超え、防衛省、自衛隊のスパイ組織が登場する。
現実では、核テロリズムは国家が関与しないと不可能である。イランの核開発プロジェクト、北朝鮮の核開発のようなことを想起すれば分かるだろうが、核爆弾の開発には国家の関与が必須となる。
更に、広島に投下されたウラン爆弾、長崎に投下されたプルトニウム爆弾は、何れも1トン以上の重量があり、簡単に持ち運びできるものではない。
イラン国内で遂行されている核開発を阻止したり、北朝鮮国内で遂行されている核開発を阻止することは、映画ではともかく、現実に日本国内の日本人相手又は日本国内の外国人居住者相手にできるわけがない。
ところが、自衛隊情報保全隊、及び、公安警察外事課は、核テロリズムのような現実にありえない事態を想定し、人権侵害、違法な電話盗聴などを行い、権限を拡大しているのである。
外事警察という映画を楽しむのはともかく、この映画の鑑賞を通じて、自衛隊情報保全隊の非合法活動を放任することはできない。