警察・海保、強制送還で調整=

不法上陸の5人、那覇到着―

入管法違反、本格聴取

 沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の魚釣島に自称中国籍の活動家が上陸するなどしたとして、入管難民法違反容疑で男14人が逮捕された事件で、魚釣島に不法上陸した容疑で逮捕された5人を乗せた海上保安庁の巡視船「くにがみ」が16日午前9時前、那覇市の港に到着した。5人は県警那覇署など四つの警察署に移送された。政府は14人について強制送還する方向で調整している。
 県警や海保は、上陸した動機や経緯などについて詳しく事情を聴く。不法上陸、不法入国以外の違法行為がなかった場合には、警察、海保は強制送還に向け関係省庁と調整し、一両日中に身柄を入管当局に引き渡す方針とみられる。
 不法入国容疑で逮捕された残り9人を乗せた巡視船も那覇市の沖合に到着。海保は船内で事情聴取している。16日夕には同市の港に入港する予定。
 不法上陸・入国の容疑で逮捕され、その他に容疑がない場合は、検察には送致されず、入国管理局によって強制送還されるケースが多いという。
 香港の民間抗議船「啓豊2号」は15日午後5時半ごろ魚釣島に到着し、7人が上陸したため、県警は、警告に従い船に戻った2人を除く5人を同法違反(不法上陸)容疑で現行犯逮捕。海保も残る9人を同法違反(不法入国)の疑いで現行犯逮捕した。
 不法上陸の疑いで逮捕された前香港区議会議員曽健成容疑者(56)ら5人は「世界華人保釣(釣魚島防衛)連盟」に参加する香港の民間団体「保釣行動委員会」に所属。「魚釣島は中国の領土だから逮捕は間違いだ」などと容疑を否認しているとされる。
 「啓豊2号」は海保の巡視船にえい航され、沖縄・石垣島に向かっている。16日午後4時ごろに到着する見込み。(了)
[時事通信社]

コメント

パスポートを所持しないで、本邦に入った者、
入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
に対しては、原則として、刑罰が規定されている
(出入国管理難民法70条1項1号、2号)。

しかし、出入国管理難民法65条は、刑事訴訟法の特例について規定しており、
入国違反の罪(同法70条)以外の罪がないときには、刑罰を課すことなく、
強制送還することができる旨が規定されている。

尖閣諸島の上陸は、この特例規定が適用される。 

出入国難民管理法は、日本に入国する人、
日本から出国する人を管理する法律であるところ、
尖閣諸島に上陸した活動家を強制送還する方針は、
出入国管理難民法の規定に従っているのに過ぎない。

強制送還の方針を批判するブログも散見するが、
出入国管理難民法の特例規定まで検討していないと考えられる。

また、尖閣諸島について、海上保安庁及び沖縄県警の権力行使が
及んでいるので、日本国が尖閣諸島を支配していると考えられる。

ちなみに、特例規定は、下記の通りである。


第六十五条  

1 司法警察員は、第七十条の罪に係る被疑者を逮捕し、若しくは受け取り、

又はこれらの罪に係る現行犯人を受け取つた場合には、

収容令書が発付され、且つ、その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、

刑事訴訟法 第二百三条の規定にかかわらず、

書類及び証拠物とともに、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができる。

 前項の場合には、被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に、

当該被疑者を引き渡す手続をしなければならない。