脱原発を訴えるデモが東京・永田町の国会周辺で毎週末開かれている。6月22日以来、たびたび現場を訪ねているが、参加者は次第に増え、最近は数万人規模に。このデモ、呼びかけ人はいるものの、ゆるやかな組織体で、リーダーも不在。インターネットのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じた口コミで大群衆が形成されるという、あまり前例のない事態となっている。(文化部編集委員 篠原知存)
デモは原則的に毎週金曜午後6時から8時という定例開催。参加者の実数は不明だ。たとえば、日曜に実施された7月29日の主催者発表は20万人で、警察によると1万数千人と、ずいぶんかけ離れている。誇張か矮小(わいしょう)化かわからないが、どちらにしても週末になると国会周辺の歩道は人で埋めつくされている。
てんでばらばら…
お年寄りから子供連れまでさまざまな人々が参加している。「脱原発」「再稼働反対」という意見が共通しているだけで、ずっと行列を眺めていくと、「てんでばらばら」という言葉が自然に浮かぶ。
(中略)
そして目立たないが、じつは静かに群衆に身を投じている人たちが多い。仕事帰りのサラリーマンやOLたち、あるいは学生っぽい人たち。列の後方などは演説も聞こえにくいし、盛り上がりにも欠けるが、周囲の人とおしゃべりしたりしながら整然と並んでいる。時間が過ぎると、粛々と帰っていく。あとにはゴミひとつ落ちていない。
こういう静かな人々を集めていることが、今回のデモの特徴だろう。その原動力となっているのが、SNSのフェイスブックとツイッターの普及だ。