東京大学の学生だった頃、
駒場キャンパスの内部に立地する駒場寮に住んでいた。
東京大学のキャンパス内に寮があるので、通学時間は0分。
駒場キャンパスの門から駒場東大前駅までは30メートルぐらいしか離れていない。
駒場東大前駅から渋谷駅までは、2駅であり、距離にして1.4キロ。
駒場寮から渋谷まで歩いても、
渋谷から駒場寮まで歩いても、約20分。
学生だったこともあり、
渋谷駅からファッションビル109、東急本店を経由して、
駒場寮まで歩くことがよくあった。
しかも、寮費がとにかく安い。
寮費は、正確に覚えていないが、電気代、水道代込みで、
月2000円~3000円。
立地に比べて、家賃が極めて安い。
やはり、それには理由がある。
まず、一部屋に3人の共同生活なので、プライバシーがない。
携帯電話がない時代に、各部屋に電話が設置されていない。
次に、昭和10年代の建築で、建物が老朽化していた。
3棟の建物が並行しているのだが、
2棟の建物は同一のサイズであり、
上から見たら、長細い長方形となっている。
これに対して、1棟の建物は、
上から見たときの長方形の長辺が短くなっている。
第二次世界大戦前の物資不足の時代に建設されたので、
建設資材が足りなくなり、
通常サイズの建物が建築できなかったのではと噂されていた。
更に、建物が老朽化していただけでなく、
建物の管理がキチンとされていなかった。
端的に言って、見た目から汚れている。
通常のマンションなら、外壁に塗装したり、
内装工事をしなければならないレベルであった。
冬の暖房はあったが、夏の冷房はない。
寮内の風呂は、夏は週4日、冬は週3日。
これでは十分でないので、
駒場キャンパスの外の銭湯に通っていた。
後年、米国留学後、アメリカ人の友人を駒場キャンパスの駒場寮に案内したことがある。
アメリカ人の友人は、駒場寮を一目、見て、衝撃を受けた。
こんな汚いところに、日本のトップ大学の学生が住んでいるなんて!
今では、駒場寮は解体されており、当時の面影はない。