脱原発デモ、「人間の鎖」で国会包囲へ
都内で7月29日、「人間の鎖」による国会包囲を目指した脱原発デモが開催されている。野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相が6月に原発2基の再稼働を指示したことを受けて、脱原発のうねりが再び起きており、抗議行動が相次いでいる。
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筆者は、1968年の東大安田講堂事件など、学生運動に関する書籍を読んだことがあります。また、東京地方検察庁公安部の検察官経験者が自伝で、学生運動について描写していることも覚えています。検察官は、日比谷講演などの集会の様子を小まめに写真撮影して、証拠保全していました。
7月29日の反原発デモにおいて、公安警察の警官、又は、公安検察の検察官が、写真撮影をしているのは確実です。
テレビ番組で原発デモを映像で報道していますが、刑事訴訟法の判例によると、検察、警察はこのテレビフィルムを提出させることができます(博多駅テレビフィルム提出命令事件;最高裁昭和44年11月26日判決;リクルート疑惑日本テレビビデオテープ差押事件、最高裁平成元年1月30日決定など)。
反原発デモについて、公務執行妨害で逮捕された人がいます。
公務執行妨害では、逮捕される人は1人、2人など少数ですが、
騒乱罪(刑法106条)、多衆不解散罪(刑法107条)が適用されたときには、多数のデモ参加者が摘発されることになります。
もっとも、7月20日のように、鳩山元首相がスピーチしているときに、鳩山元首相を首謀者として摘発することはできないでしょう。
騒乱罪(刑法106条)は、多衆で集合して暴行又は脅迫をした場合に成立します。
反原発デモ参加者の誰かが、警備警察に対して、投石でもしたときには、「暴行」と認定され、投石した人のみが摘発されるのみならず、デモの主催者、投石をあおった人など、かなり大勢が摘発されるおそれがあります。
騒乱罪の刑罰は下記の通りです。
一 首謀者は、一年以上十年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、十万円以下の罰金に処する。
「付和随行した者」は、デモ参加者になります。
大規模にデモ参加者を動員して政治活動するときには、政治犯として摘発される可能性が浮上します。
一方、政治家として成功する可能性もあります。
南アフリカ共和国のマンデラ大統領は、アパルトヘイトに反対する政治犯として投獄されていました。
結局、一国の最高権力者に登りつめました。