今月、日本化学会第99春季年会が甲南大学で開催されますが、この春季年会でマイクロ波聴覚効果に関する演題を発表いたします。著作権の関係もあり、全く同じ内容を発表することはできないので、科学リテラシーという観点でまとめました。

 

発表も抄録も英語ですが、ここには抄録の日本語訳をアップいたします。

 

電波が聞こえないという神話

一般社会に限らず大多数の化学者も電波は聞こえないという神話を素朴に信じている。ところが、一定の条件を満たした電波が音として聞こえるという実験結果は1960年代から繰り返し報告されており、更に、その原理も解明されている。矩形波のマイクロ波が頭部に照射されると、マイクロ波が音波に変換され、この音波が頭部組織を伝搬し、骨伝導で聞こえる。マイクロ波が音波に変換する原理は水の熱膨張である。水の熱膨張は物理化学の基本なので、本講演は科学上の真実を啓蒙する。