エクスポソーム(Exposome)とは、個人の健康状態を左右する、外部環境要因とそれに応答する体内(内部)要因を統合した概念のことです。エクスポソームは、人体の外側にある環境要因のみを指すのではなく、その刺激を受けた体内の環境ないし状態までが含まれます。
2005年にクリストファー・ワイルド博士によってエクスポソームという概念が提唱されたのですが、遺伝子情報(ゲノム)だけでは説明できない病気の発症メカニズムを解き明かすことが期待されています。
1. 外部環境(External Environment)
私たちの体の外側に存在し、健康に影響を与える要因です。個々の個人によって異なる外部要因としては、 食事、喫煙、飲酒、運動習慣、職業上の化学物質への曝露、感染症などがあります。一方、多数に共通する外部要因としては、大気汚染、気候変動、騒音、都市化、社会経済的な状況などがあります。
2. 内部環境(Internal Environment)
エクスポソームでは、外部からの刺激に反応して変化する、体内の生物学的な状態についても着目します。例えば、食事やストレスに反応して変化する代謝物、腸内細菌叢、ホルモンなどに着目します。更に、細胞レベルで起きる炎症反応、酸化ストレスなども内部環境として考慮いたします。
外部環境に限られず、内部環境まで含める包括的なアプローチにより、病態の個人差を解明することができるのではないか、と期待されています。
文献
Wild CP. Complementing the genome with an exposome: the outstanding challenge of environmental exposure measurement in molecular epidemiology. Cancer Epidem Biomar. 2005;14(8):1847–50.