第6章 誘導電動機 6.1 回転子

 

 誘導電動機が滑りsで回転しているときの二次回路(回転子回路)は、次のイラストようになります。

 理論で学習する交流回路のオームの法則によれば、この二次回路における誘導性インピーダンスは、iω1L2(リアクタンスω1L2)になりそうですよね?

 

 でも、実際にはイラストのとおりisω1L2が正解です。

 

 これは、何故でしょうか?

 

 理由の一つには、誘導電動機では回転子が回転すると、二次起電力の周波数が電源周波数(一次周波数)と一致しないことが挙げられます。これについては、以下の記事が参考になるでしょう。

誘導電動機の等価回路の理解に向けて!二次周波数(滑り周波数)は、なぜ一次周波数の滑りs倍なのか? | 電験三種向け 発電機・電動機・変圧器の解釈 (ameblo.jp)

 

 また、この理由を考えるとき、なぜ誘導電動機の誘導性インピーダンスが「i×角周波数×インダクタンス」で表されることになるのかといったことや、誘導電動機のインダクタンスの正体が気になり始める方も出てくると思います。そんな方は、以下の記事が参考になるでしょう。

同期電動機や誘導電動機での誘導性インピーダンスiωLの導出方法 | 電験三種向け 発電機・電動機・変圧器の解釈 (ameblo.jp)

 

 誘導電動機の等価回路を導いていく際、このように多くの前提条件を一つ一つ理解し、それらを関連付けていかないと正しく理解するには至りません。そこが、誘導電動機が難所と言われる理由だと思います。

 

(その解説は本書に記載されています↓)

電験三種向け 発電機・電動機・変圧器の解釈 - 基本原理から公式の詳細 - | パテレクト (patelect.base.shop)

 

 過去問で分からないところだけを調べ理解を深めていくのも手法の一つですが、それだといつまで経っても全貌が見えてこないと思います。そういう時は、問題演習から離れ、いちど誘導電動機の全体を通しで俯瞰してみることも大事です。そうすることで、結果、時間の大幅な節約になったりすることもあります。