最近、実用新案制度について話題になることがない。

 

 利用価値が無いからでは?

 

 何も実用新案制度を利用しなくても特許があれば済む。

 技術的思想の創作の高度性の有無を除けば、実用新案法の保護対象はすべて特許法で保護することが可能である。

 また、実用新案制度、無審査で出願すれば登録されるとはいっても、最近の特許査定率は70%台で推移しており、実用新案制度のメリットはあまりないようにみえる。

 

 

特許行政年次報告書2019年版によると、
 実用新案登録出願件数は、この10 年間減少傾向にあり、2018 年は5,388 件であった[1-1-44図]。実用新案登録件数も同様に減少傾向にあり、2018 年は5,303 件であった[1-1-45 図]。

 

 

 

 

 

実用新案技術評価書の作成件数も、実用新案登録出願件数と同様に減少傾向にあり、2018 年は336 件(前年比7.7%減)であった[1-1-46 図]。

 

 

 以上が日本における実用新案制度の現状である。

  

 実用新案制度を採用している日本以外の国について、再び、特許行政年次報告書2019年版をみると、日中韓における実用新案登録出願構造の項目で、「2018 年の内国人による実用新案登録出願件数は、日本は3,810 件、中国は2,063,860 件、韓国は5,768 件であった。
 中国における外国人出願の件数は増加傾向にあるが、その割合は1%未満に過ぎない。また、2017 年の日本から中国への出願件数は前年より減少した[1-1-47 図、1-1-48 図、1-1-49 図]」

 

 

 

 

 

 

 韓国は日本と同様に実用新案登録出願件数が下がり続けているが、逆に中国は増加の一途をたどっており、2018年には2,000,000件を超えるまでになった。

 

 巷のうわさでは、中国の実用新案制度の使い勝手の良さではないかとのこと?

 この点については、かなり古いけど、

「中国における実用新案制度の概要と活用」

 https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/2555/

が参考になる。

 

 例えば、「中国実用新案権の権利行使のしやすさ」の項目で、

 「中国の専利法には、日本の実用新案法第29条の2のような「技術評価書を提示して警告をした後でなければ、侵害者等に対し、その権利を行使することができない」という旨の規定は存在しない。また、日本の実用新案法第29条の3で規定されるような「警告や権利行使を行い、その後、実用新案登録が無効となった場合、技術評価書の提示やその他の相当な注意をしないで警告や権利行使により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる」旨の規定もない。

 つまり、中国の実用新案権は日本の実用新案権に比べて、権利行使しやすい権利であると言える。」との解説がある。

 

 

 確かにその通りであるが、特許戦略的な観点からみると、「特許・実用新案同日出願制度」も使い勝手の良さの一つに加えてもいいかと思う。

 

 「出願人は同一の発明について特許と実用新案の両方を同日に出願することができる(専利法第9条、実施細則第41条第2項)。この同日出願制度を利用して特許と実用新案を同日に出願すれば、実用新案出願は実体審査がないため先に登録されることとなり、特許出願は、特許の登録要件を満たす場合に、出願人が実用新案権を放棄することにより、特許権を取得することができる。」

 

 この制度では、特許出願の内容を修正することにより、特許と実用新案との両方を維持することもでき、実用新案の早期権利化と特許権による長期的保護の双方のメリットを享受することができる。

 

 

 現行の実用新案法のもとで、実用新案法第29条の2(実用新案技術評価書の提示)、第29条の3(実用新案権者等の責任)の規定を廃止し、特許・実用新案同日出願制度を導入すれば、実用新案制度を価値あるものにすることができるのか?

 

 分からないし、またそこまでする価値があるのか甚だ疑問である。

 

 放置しておけばいいと思う。

 

 敢えて実用新案制度廃止しなくてもいい。

 廃止するとなると、特許法、意匠法、商標法の改正が必要で、結構大変な作業となる。

 

 おまけの話(エロ話なので成人指定)

 

 アマゾンプライムビデオで「万引き家族」を観た。

 食事風景が汚い。

 食卓の汚さ、食卓を囲むときの姿勢の悪さ。

 昭和の時代、貧しかったけれど、あんなに汚い食事風景はなかったと思う。

 日本人の家庭では。

  
 
 でもね、印象に残っているシーンがある。

 それは、安藤サクラが演じる信代とリリー・フランキーが演じる治とのからみのシーン。

 
 けだるい夏の昼、ソーメンをすすりながら何故か欲情を催した信代が食事中にも拘わらず治に迫り、なにを始めた。
 
 場面は変わり、なにの後のけだるさを残しつつ、全裸のままうつぶせ状態の信代、同じく裸のまま庭を眺めている治。信代の〇〇が丸見えである。

 再度の信代の誘いに応じ、信代の背後から近づいた治、信代の背中に薬味のネギが付いていることを発見。背中をなめながらネギを取り除きつつ、信代の〇〇の割れ目に治の〇〇を押しつけ、バックからなにを始めようとしたとき、夕立でずぶ濡れになった息子の祥太とゆりが突然帰宅。


 
 是枝監督、何を表現したかったのか分からないが、それでいいと思う。

 少なくとも安藤サクラの〇〇を観ることができたから。