先週(2017/09/15)、弁理士会研修「中国特許セミナー」に参加した。

 講師は中科専利商標代理有限責任公司の中国弁理士の張 立岩 先生である。

 

 題目としては
 1.発明・実用新案・意匠とその統計データ
 2.審査の現状
 3.審査指南改正について
 4.電話インタビューの留意点
 5.実用新案の特殊性
 6.PPH審査促進
 7.新規性喪失の例外についての留意点
と、盛り沢山。

 

 15時から17時までの2時間のセミナーで、時間的な制約があり、あまり深く突っ込んだ内容ではなかったが、そのなかでも中国の実用新案制度について関心があり、それについて講義ノートとしてまとめてみた。

 

 実用新案のメリット・デメリットについて


 メリットとしては
 出願から権利付与まで期間が短くて済み、費用が安くて済む。
 現在では権利付与まで1年位であるが、これを2ヶ月に短縮する予定。
 権利侵害を停止する効力は発明特許と同じ。
 ただ、日本と違い、実用新案法29条の3(無過失賠償責任)に相当する規定はない。
 権利の安定性も特許と変らない。
 無効審判において 66% 以上が有効(部部有効を含む)。


 デメリットとしては
 権利侵害訴訟を停止される場合が発明特許と比べて多い。
 技術評価で新規性、進歩等を示すことがきなければ訴訟が中止となる。

 

 実用新案保護客体について
 請求項の記載において、プロダクト・バイ・プロセス・クレームのような記載が認められる場合がある。
 但し、方法的記載の部分は既知の方法に限定される。
 何故なら、保護客体はあくまでも物品の形状、構造又はその組み合わせにあり、方法自身ではないから。
 例えば、「木製フローリングと、木皮と、アルミナ層とからなる、耐摩耗性フローリングであって、木製フローリング上にはユリア樹脂層が塗布され、該ユリア樹脂層上にはメラミン樹脂中の浸漬した木皮が貼着され、該木皮上にはアルミナ層がホットプレスされることを特徴とする耐摩耗性フローリング。」のような記載は認められる。
 「塗布」、「貼着」、「浸漬」、「ホットプレス」は当該技術分野において既知の加工方法であり、かつこの既知方法で限定されるものは方法自身ではなく、フローリングの構造であるため、実用新案の保護客体に属する。

 


 同じ発明創造について、同一出願人が特許と実用新案を同時に出願した場合、先に取得した実用新案権が未だ終了せず、且つ当該実用新案権の放棄を声明したら、特許権を取得できる。

 同じ発明創造について、特許が認められるまでは実用新案権で保護し、特許後は特許権で保護。

 ダブルパテントは認められないが、補正で違いを出せば、実用新案権と特許権の双方で保護することも可能。

 特許が認められない場合、実用新案権で継続して保護。
 
 一応以上のような解説があったが、特許がダメなら実用新案で保護することについては如何なんだろう。


 進歩性の判断基準では、発明については、「際立った実質的な特徴と顕著な進歩」としているのに対し、考案については、「実質的な特徴と進歩」としており、これは日本の特許法や実用新案法の「容易」と「きわめて容易」と同様に一応差異を設けているが、極めて抽象的で、具体的な判断手法が不明だからである。

 ぶっちゃけた話し、「際立った実質的な特徴」と「実質的な特徴」との相違、「顕著な進歩」と「進歩」との相違、どうやって判断するの。

 審査官、審判官、裁判官の個人差はないの。

 などなどである。

 

 

 話しは変わるが、緊迫する北朝鮮の核ミサイル問題、日本はアメリカ、中国、ロシアなどの他国に依存し過ぎてはいないのか。


 経済制裁については中国、ロシアなどに対してとやかく言わず、日本独自でもっとやれることがあるのでは?


 下品な言い方をすれば、他人の褌を使うなということ。

 

 同盟国アメリカが日本を守るなんて信じるのは愚かなこと。

 憲法9条があるから日本に攻めてくる国など存在しないと考えるのと同じで、馬鹿げている。


 アメリカは自国の利益のためでしか動かない。


 トランプ氏がアメリカ大統領になれたのも、アメリカファースト(自国第一主義)を叫び続けたからこそ国民の支持(???)が得られたことを思い出せ。

 

 なお、今朝の日経第2面に百田尚樹著「戦争と平和」の広告があった。同書のアマゾン・ドット・コムでのページを開いたら、商品の内容の項目で「日本は絶対に戦争をしてはいけない。日本人ほど、戦争に向かない民族はいないのだから―。」を見付けた。

 


 確かにそう思うよ。


 以前読んだ「失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) 文庫」で感じていたことである。

 

 

 戦争にならないようにするには核武装も一つの選択肢。

 

 いわゆる脅しである。

 

 核保有国間では代理戦争があるものの、直接対峙した戦争が起きていないことが理由。

 

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 先日(2017-09-12)、当ブログで弁理士会からの「特許制度・実用新案制度に関するアンケート」 にふれて、特許・実用新案出願の減少原因について物知り顔でに勝手なことをいったが、これは痴呆性徘徊老人の戯言で、忘れて欲しい。

 

 何がいいたかったかというと、近年の特許出願数が減少している原因について、はっきりしたことは分からないということ。

 

 でも、またまた虚言。

 下図のグラフに示すように、2007年以降、特許出願件数のうち、内国出願人(居住者)の出願件数は確かに減少し続けているが、外国出願人(非居住者)の出願件数は増減することはあるものの、あまり変わっていない。

 

 

 ということは、ここ10年、日本国内企業の特許出願意欲が減退し続けているということで、これについて特許庁としては何もしなかったわけではなく、2006年(平成18年)に、分割出願制度の見直し、輸出が発明の実施の一形態として明記等、2008年(平成20年)に、通常実施権等登録制度の見直し、特許・商標関係料金の引き下げ等、2011年(平成23年)に、通常実施権等の対抗制度の見直し、冒認出願等に係る救済措置の整備 、 特許料等の減免に係る関係法令の見直し等、2014年(平成26年)に、特許異議の申立て制度の創設等、2015年(平成27年)に、職務発明制度の見直し、特許料等の改定等を行ったが、これらの改正が出願増加のためのインセンティブとして働かなかったということ。

 

 特許庁の幹部だった先輩から聞いた話(昔話)であるが、出願件数の増加で審査が間に合わず、未処理の案件が増え、出願から権利化までの時間がかかることにいらだったアメリカ様からの外圧で、特許庁が動き、特許出願件数の多い企業のトップを呼びつけ、出願を控えるように命じたことがあったが、効果がなかったとのこと。


 企業の勢いがある時には特許庁から脅かされても出願を止めなかったということで、勢いがなくなれば何をしても駄目だということを物語っているのでは?

 

 坂口安吾の堕落論ではないが、落ちるところまで落ち切る必要があるのでは?

 


 ところで、NHK朝7時のニュースを観るためテレビのスイッチを押したところ、北朝鮮のミサイルが発射されたとの注意喚起があった。Jアラートである。


 またか。


 迷惑千万。


 北シンパサイザーはこの期に及んでも話し合いを叫んでいるが、とても無理、無理。


 座して死を待つか、それとも防衛のために日本、核武装するか?


 嫌なことだけど、どうもそんな時期にさしかかってきたのでは?

 

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 先週(2017/09/06)、弁理士会から「特許制度・実用新案制度に関するアンケートのお願い」と題するメールが会員各位宛てに送信された。


 それによると、
「 特許委員会では、日本の特許制度・実用新案制度における出願件数増加への動機づけとなる制度の適正化を検討しております。
 その一環として、制度改正に対するユーザーニーズ等を正確に把握すべく、会員各位の皆様に対し、アンケートを行うことになりました。」

 

 メールには、「アンケート本文ページ」に参考となる図が掲載されているので、アンケートの回答に際し、参考にするようにとのアドバイスがあった。

 

 「アンケート本文ページ」を開いてみると、
 「特許委員会では、特許制度・実用新案制度のグローバル化に向けて各国制度を日本の制度と比較し、日本の制度における望ましい改正の方向性を検討しております。特に、昨今、日本で出願数が減少し(図1参照)、その原因が制度そのものにもあるのではないかと考え調査しております。出願人に対する出願件数増加への動機づけとなる制度の適正化(出願人の保護と第三者による利用とのバランスの適正化)が図れれば、日本の産業の発達、国内外の企業の事業活性化、日本特許庁のハブ特許庁化の推進をも図れるのではないかと考えております。」

 

 

 本アンケートをきっかけに特許出願及び実用新案登録出願件数の減少原因を探ることにした。

 

 まず、特許出願及び実用新案登録出願件数の推移を調べてみた。


 2017年度の特許行政年次報告書ダイジェストには2007-2016年での特許出願件数の推移及び実用新案登録出願件数の推移を示す棒グラフが掲載されていた。 https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017/honpen/0004.pdf

 


 

 

 2007年以前についても調べてみた。

 中小企業のための実用新案制度活用のてびき 平成28年10月 東京都知的財産総合センター には「特許・実用新案の出願件数の推移1980-2013年」を示す折れ線グラフが掲載されていた。

  https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/jitsushin/jitsushin.pdf

 

 

 

 

 次いで、上記「アンケート本文ページ」で出願件数の減少の原因を制度そのものにあると、指摘した点について検証してみた。

 

 実用新案制度につては、制度そのものも出願減少の一因にあるとしたことについてはあえて否定しないが、特許制度については、疑問であった。


 そこで景気(実質GDP)との関係はどうなのか。

 景気が悪化すれば、まずやるのが経費の見直し。

 経費には知財関連費用も含まれているので、経費削減に伴って知財関連費用も減額されて特許・実用新案の出願件数が減少することは容易に想像出来る。

 

 1980-2016年における実質GDPの推移、および特許出願件数、実用新案登録出願件数及び総R&D費の推移を調べてみた。

 

 実質GDPの推移(1980-2016年) 世界経済のネタ帳から
 http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP_R&c1=JP&s=&e=

 

 

 特許出願件数、実用新案登録出願件数及び総R&D費の推移 特許行政年次報告書2017年度版から https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017/honpen/0102.pdf

 

 

 

 実質GDPと総R&D費の推移をみると、実質GDPの増加に伴い総R&D費が増加していることがうかがえる。両者には相関関係があるようにみえる。

 

 1980年から2000年頃までは実質GDP、総R&D費及び特許出願件数は共に増加傾向にあった。


 しかし、2000年過ぎころからは実質GDPと総R&D費が増加傾向にあるものの特許出願件数は横ばいか減少傾向にあった。


 そして、リーマンショック(2008年9月15日)後は実質GDP、総R&D費及び特許出願件数は減少するものの、実質GDP及び総R&D費は直ぐに回復して上昇に転じたが、特許出願件数は減り続けている。

 

 そうすると、リーマンショック以後、景気(総R&D費)と特許出願件数との間に何等の相関関係を見出すことが出来ないようだ。


 そこで、近年の特許法の改正をチェックした。


 2006年(平成18年)には、分割出願制度の見直し、輸出が発明の実施の一形態として明記等、
 2008年(平成20年)には、通常実施権等登録制度の見直し、特許・商標関係料金の引き下げ等、
 2011年(平成23年)には、通常実施権等の対抗制度の見直し、冒認出願等に係る救済措置の整備 、 特許料等の減免に係る関係法令の見直し等、
 2014年(平成26年)には、特許異議の申立て制度の創設等、
 2015年(平成27年)には、職務発明制度の見直し、特許料等の改定等があった。

 

 しかし、出願を抑制するような改正は特になく、言い過ぎかもしれないが出願を奨励するような動きがみられる。

 

 景気、制度ではなく、何が原因。


 そういえば、特許公報、公開公報を介して技術情報流出につながることがあるので、無闇矢鱈に特許出願をすべきではないと、盛んにいわれたことがあった。


 2013/8/30発行の単行本「もうひとつのチャイナリスク: ─知財大国中国の恐るべき国家戦略─ 」第4章 金をかけずに知財を得る 日本の特許情報は宝の山 にも、「中国は知財そのものの取引や製品開発のため、あるいは特許攻撃をするために、優れた知財データベースである日本の特許情報を最大限に活用しているのだ。」の記述がある。

 

 

 


 では、特許出願をしないで発明をどう保護するのか。


 営業秘密で保護。


 発明を営業秘密で保護するようになったので、特許出願の件数が減ったということか?


 そもそも営業秘密の件数なんか公表されていないので、特許出願件数の減少分が営業秘密に移ったとは、言い難い。

 

 結局、特許出願減少の原因は不明。

 

 

 

 では、実用新案登録出願の減少の原因は?

 

 実用新案については、上記特許・実用新案出願件数の推移1980-2013年のグラフからわかるように、1980年(昭和55年)頃は特許とほぼ同数の出願がなされていたが、1989年頃から減少に転じ、1994年に無審査登録制度である新実用新案制度に移行して以降、激減した。


 そして、2005年4月、改正実用新案制度が施行され、改正実用新案制度の下で一時的に出願件数が回復するも(2005年に前年比約40%増の11,386件)、2006年以降減少し続けている。

 

 改正実用新案制度が影響しているようにみえるが、どうなんだ。

 

 上記「アンケート本文ページ」でも言及(提案?)しているが、同一発明について特許と実用新案との出願及び審査が併存できる中国・ドイツの制度のようなインパクトのある制度改革が必要ではないのか。

 

 実用新案の出願件数を増やすには、例えば、中国のように、同一発明について同日出願した特許と実用新案の審査の併存が許容される特実併願制度、あるいはドイツのように、特許から分岐して同一発明の実用新案を後から出願できる分岐出願制度を検討すべき時期なのかもしれない。

 

 安易な実用新案制度廃止論は止めたほうがいい。

 

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 最近、当ブログでは実用新案についてくどくどと書いているが、他に書くことはないかと問われれば、あるけれど(ホントかよ?)、正しく理解されていないようなので、あえて書くというのが本音。

 

 権利行使については、実用新案技術評価書の提示(実用新案法29条の2)、実用新案権者等の責任(実用新案法29条の3)などを除いて特許の場合と同じであるが、留意しなければならないことがある。

 

 それは、侵害訴訟において、被告側から無効の抗弁が主張されたとき、この対抗手段として明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正(実用新案法14条2)が可能かということ。


 すなわち、訂正の再抗弁が可能かということ。

 

 訂正は、最初の評価書の謄本の送達があった日から二月を経過するまで、又は無効審判について最初に指定された答弁書提出可能期間を経過するまでに制限され、かつ全期間を通じて一回のみしか認められていない(実用新案法14条2第1項柱書、1号、2号)。

 

 そうすると、実用新案技術評価書を提示して警告し、それでも侵害行為を止めないときに権利行使に及ぶのが、この時には既に最初の評価書の謄本の送達があった日から2か月経過してしまい、時間的に無理があるのでは?

 

 常識的には無理だろう。

 

 でもね、でもね、請求項の削除だったらどうなの。

 

 請求項の削除を目的とする訂正については、実用新案登録請求の範囲の減縮などを目的とする場合と異なり、回数制限なしに、原則としていつでも可能だよね(実用新案法14条2第7項)。
 ただし、無効審判が係属している間は、審判の迅速な処理の観点から審理終結通知(41条において準用する特156条1項)の後は訂正を行うことができない。審理終結通知後に審理が再開された場合(41条において準用する特156条3項)には、その後更に審理終結が通知されるまでは訂正が可能。

 


 訂正の抗弁が有効となるには、
 訂正によって無効の抗弁で主張された無効理由が解消されること
 訂正後のクレームであっても侵害であることを主張立証すること
が、必要となるけれど、果たしてこれが可能なのかと、いう疑問がある。

 


 訂正の再抗弁、特許の場合でも結構難しいが、実用新案の場合、さらに難しいことを留意する必要があるということ。

 

 

 最近、当ブログで実用新案について取り上げた。

 実用新案技術評価 何なの 2017-08-21
 https://ameblo.jp/patanze/entry-12303444492.html

 少ないけど、実用新案権侵害訴訟があるよ 裁判例紹介 2017-08-16
 https://ameblo.jp/patanze/entry-12302018603.html

 


 何故かというと、実用新案なんて無審査で登録されるので、権利行使なんてしないし、万が一権利行使しても、無効審判で無効になったら権利行使により相手方に与えた損害を賠償することになり、まあ無視しても大丈夫と、巷で噂されているからである。。


 そんなことはない、実用新案、本当は恐ろしいことを伝えたかった。

 

 見方を変えれば、実用新案、競業者を牽制する友好な手段になり得るということ。

 

 

 ところで、特許化を試みたものの、進歩性(創作非容易性)を理由に拒絶されたので、実用新案に出願変更したけど、この実用新案、本当に権利行使が可能なのという疑問がある。

 

 進歩性に関し、特許法ではその29条2項に「容易」と規定しているが、実用新案法ではその3条2項に「きわめて容易」と規定しているので、特許でダメでも実用新案ならOKといえないこともない。

 

 果たしてどうなの?

 

 特許法の「容易」と実用新案法の「きわめて容易」とは、実質的に差異はないと思っている。

 自分だけかもしれないが、これは「容易」ではあるが、「きわめて容易」とまではいえないなんて、どうやって判断するの?

 判断できないよ。

 本願発明(考案)と主引例との差を埋める副引例の数で機械的に決めるの?

 おかしくない?


 そうすると、特許がダメなら、実用新案もダメなので、あえて実用新案制度を設けておく必要はない、という意見、ご尤もである。

 特許にするには難しいが、実用新案なら大丈夫、だから実用新案制度が必要という意見は受け入れ難い。

 

 話しがそれてしまったが、権利行使の観点から実用新案制度不要論を唱えるのはやめた方がいいということ。

 


 特許になる可能性があるけれど、商品のライフタイム、権利化に必要な経費などの観点から、実用新案を選択するのはいい。

 賢い選択。

 無理して特許にする必要はないと、思う。

 

 可能なら実用新案と意匠(部分意匠)との組み合わせもいいと思う。

 実用新案権と意匠権(部分意匠)の双方の侵害を認めた事件が参考になる。

 平成24年(ワ)第8221号 実用新案権・意匠権侵害差止等請求事件 東京地方裁判所
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/272/083272_hanrei.pdf

 

 

 ところで、ところで、 8月20日午後9時、NHKスペシャル「戦後ゼロ年 東京ブラックホール 1945-1946」を観たが、???であった。


 東京湾から引き上げられた金塊。
 数兆円にも及ぶ日本軍の隠匿物資の一部。
 占領軍の兵士専用の売春施設。
 多くの女性が家族を養うために身を売った。
 廃虚の街に別世界があった。
 毎月100人が餓死する街で占領軍の家族は優雅な暮らしを満喫。
 戦後ゼロ年すなわち敗戦の日からの1年間を記録した数々の映像が発掘。
 更に10万ページのCIA機密文書が公開され多くの事実が明るみに出てきた。
 ・・・・・・
 東京の治安は急速に悪化していた。
 暴力団在日外国人。
 巨大ビジネスになったヤミ市の利権を奪い合う血生臭い抗争が頻発。
 治安の悪化が暴動につながりかねない。
 占領軍はヤミ市を撤去する事を指示した。
 ・・・・・・

 

 路上で大人に交じって少年がパチンコに興ずる姿を写しつつ、東京の治安は急速に悪化、在日外国人が巨大ビジネスになったヤミ市の利権を奪い合う抗争を拡げている、の語りが入り、「パチンコ」で在日外国人が何処の誰だかを暗示していた。

 

 これを観ながら、唐突であるが、ヴィクトール・E・フランクル著の「夜と霧」を思い出した。

 東京がナチスドイツの強制収容所と同じようになっていたことである。

 GHQ、やるじゃないか。

 

 強制収容所を運営するナチス親衛隊員、収容所監視兵と共に働いたのが「カポー」であるが、GHQ、東京強制収容所の「カポー」の役割を「在日外国人」にさせていたのではとの疑問がわきあがった。

 

 では「カポー」とは何人か?

 被収容者であるユダヤ人から選ばれた人。

 何を基準に。

 劣悪な者から選ばれた。

 「カポー」たちから見下されていたごく普通の被収容者が空腹にさいなまされ、餓死していた間、「カポー」たちはすくなくとも栄養状態は悪くなかったどころか、なかにはそれまでの人生でいちばんいい目を見ていた者もいた。


 GHQ、在日外国人を戦勝国国民として扱って、やりたい放題にさせていたと、大昔、吉祥寺駅北口側の闇市跡にある、とある飲み屋で予科練崩れの不良オジサンに聞いたことがあったが、本当だったんだ。

 このオジサン、自称進歩的文化人とは異なり、妙なイデオロギーにとらわれず、結構カッコ良かった。
 余計なことだけど、飲み屋のおねいちゃんとできているようだった。

 


 番組の冒頭で岸信介元首相の顔写真を映していたが、何がいいたいのだろう?

 確かにA級戦犯としては起訴されていなかったけど。

 

 皇居前広場にたむろす若い女性を恰も売春婦とみなすような映像を流していたが、敗戦国日本に対しザマーミロと言いたげだった。


 番組製作者の意図がみえみえの番組であった。


 ただ気になることがある。
 いくらCIAの機密文書が公開されたからといって、NHK、アメリカ様の許可を取ったのか?
 逆鱗に触れないのか?
 見方によっては反米キャンペーン番組になるよ。

 

 

 なお、ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」はナチスドイツを非難する書ではなく、過酷な強制収容所内で「カポー」の理不尽な暴力に耐えながらいかにして生き延びたかを著した書である。
 ナチスドイツを告発する書と誤解している人がいるようなので。
 一読を薦める。
 ただ新版で、旧版はやめた方がいい。
 旧版、古本屋で入手できるかも知れないが、おぞましい写真が掲載されているので。