基本特許を守る手段の一つとして分割出願制度がある。

 

 よくも懲りもせずに分割出願制度についてブログに取り上げると指摘されるかも知れないが、それは結構使い勝手がいいからである。


 特許出願後、J-PlatPatの経過情報欄に、刊行物等提出書、ファイル記録事項記載書類の交付請求書、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書などの記載があったら要注意である。

 

 第三者が興味を持っていることのあかしである。


 第三者とは特許になったら困る輩たちでからある。


 もしかして基本特許なの?


 当たり前のことと思っていたが、そうではないみたいだ。


 iPS細胞(誘導多能性幹細胞の製造方法)のような高度の内容の発明ではなくても基本特許になり得ることがある。

 例えば、Amazonのワンクリック特許のようなもの。
 こんなもので特許になり得るのと、結構話題になったよね。


 第三者としては、拒絶査定にでもなってくれたらバンザイであると思っている。


 でも不服審判を請求したり、審決取消訴訟になったりしたらイライラする。


 いつまで頑張るんだ。


 万が一、権利化できなかった場合、第三者は狂喜するであろう。


 一方、権利化できたとしても、特許権侵害訴訟において、被告の製品・方法は本件発明の技術的範囲に属するも、無効の抗弁により権利行使できない場合がある。訂正審判を請求して控訴審或いは上告審で再度争うことはできるけれど、訂正内容が特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正などに制限されてしまい、無効の抗弁に対抗しつつ、被告製品・方法に照準を定めることが難しい場合がある。

 

 こんなときお勧めなのは、分割出願をして取り敢えず出願を特許庁に係属させておくことである。


 親出願日を確保しつつ、第三者の意図が読めたら、あるいは第三者の製品や方法が分かったら、それを阻止する内容で分割出願を権利化することを試みることである。

 

 分割出願と訂正審判、共に願書に最初に添付した明細書など、すなわち出願当初の範囲内に制限されるものの、分割出願の方が訂正審判よりもはるかに自由度があり、無効審判や無効の抗弁を視野に入れつつ、第三者の製品・方法を本件発明の技術的範囲内に属するように権利化することが容易である。

 

 いいたいことは、基本特許であることを認識した時点で、分割出願制度を利用して参入障壁を築くことである。