2016/11/17弁理士会より 実用新案制度に関するアンケートのお願い があった。

 それによると、 「知財システム検討委員会では、ユーザーにとって真に利用価値のある、新しい実用新案制度を検討しております。その一環として、実用新案制度に対するユーザーニーズ等を正確に把握すべく、会員各位の皆様に対し、アンケートを行うことになりました。」


 このアンケートの依頼があったとき、最初に思ったのが、何故また新しい実用新案制度を検討するのかである。

 

 実は

 「1994年に無審査登録制度である新実用新案制度に移行して以降、実用新案登録出願件数は減少し、2000年には1万件を切り、その後も漸減の一途をたどっていた。こうした状況の中、2004年1月、新実用新案の意義・在り方について、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会実用新案制度ワーキンググループにおいて廃止を含めた検討が行われ、早期実施が必要な技術の保護の要請に応えるために制度を存続させるとともに制度の魅力向上を図るべきとの結論を得た。これを受けて、2004年の通常国会において、特許審査迅速化法の一環として実用新案制度が改正され、2005年4月、改正実用新案制度が施行」 

された経緯がある。

 

<改正実用新案制度の概要>
○実用新案権の存続期間の延長(実用新案法第15条)
 「出願から6年」を「出願から10年」に延長した。
○実用新案登録料の引下げ(実用新案法第31条)
○訂正の許容範囲拡大(実用新案法第14条の2)
 改正前には、請求項の削除のみが可能であったが、
 ① 実用新案登録請求の範囲の減縮
 ② 誤記の訂正
 ③ 明りょうでない記載の釈明
 を目的とする訂正を1回に限り可能とした。
○実用新案登録に基づく特許出願の可能化(特許法第46条の2)
 実用新案権として設定登録された後も、実用新案登録出願から3年以内であれば、実用新案登録に基づいて特許出願を行うことを可能とした。


 しかし、改正実用新案制度の下で一時的に出願件数が増加するものの(2005年に前年比約40%増の11,386件)、2006年以降減少の一途をたどっており、2015年には前年比3.3%減の6,860件まで減少してしまった。


 そこで、ユーザーにとって真に利用価値のある、実用新案制度を再度検討しようということなのか。
 
 
 これについては、改正実用新案制度がかかえている問題点をいろいろな角度から検討を加え、解決試案を提示した、特技懇誌2012.1.28.no.268「 実用新案制度の活用に関する一考察」のタイトルの寄稿文が参考になるのでは?
 http://www.tokugikon.jp/gikonshi/268/268kiko3.pdf

 

  2013/06/26の当ブログで紹介した。
 http://ameblo.jp/patanze/entry-11561098464.html

 

 上記ブログで批判めいたことを書いたが、一読の価値ありと、感じたので、紹介することにした。

 

 実用新案制度については未だに根強い廃止論があることを知っているが、廃止することによるメリットはなんだろう。


それよりも実用新案制度を廃止することにより伴う法整備、結構大変なのでは?


そんな面倒なことをするよりも、更に出願件数が減少して空文化するのを待つのか?


いずれにしてもこれだという解決策を見出すことは難しいと思うが、アンケートの結果に期待したい。