昨日(2013年10月10日)、米国特許弁護士 山口洋一郎 氏が講師をつとめたセミナー「米国発明法(AIA)と新規則の解説」に出席した。


 セミナーの内容は
 法改正までの経緯
 法改正の不要となった判決とその後の訴訟状況
 改正法施行後のパテント・トロール訴訟状況及び立法対策
 付与後の特許無効・異議申立手続きと実例
 先願主義と経過措置の問題点
 発明性の基準についての判決と実務上の対策
 等であった。


 ほぼ満席であった。


 米国特許改正法については、これまで
 2011年11月14日、東京医科歯科大学で開催されたセミナー 「米国特許法改正と特許出願・技術移転実務への影響」 講師 竹中 俊子 氏 ワシントン大学ロースクルー教授、

 2012年01月13日、弁理士会 国際活動センター主催の 「米国特許法改正セミナー」 於:砂防会館、
 2012年5月23日、弁理士会館で開催された研修 「米国特許最新動向」 講師 木梨 貞男 氏 米国特許弁護士、
 2012年9月7日、イイノホールで開催された 「米国改正特許法セミナー」
 講師はUSPTO副長官 Ms.Teresa Stanek Reatと Foley & Lardner の 特許弁護士など、
 に出席した。


 改正法の解説本を読むよりも、むしろ直接話を聞いたほうが手っ取り早いと思ったからである。
 また、講師によって改正法のとらえ方(例えばグレース・ピリオドの捉え方)が相違することがあり、参考になると思ったからである。


 今回はこれまでのセミナーとは異なり、かなり立ち入った話しを聞くことが出来た。


 例えば、法改正の過程で議論されていたことが、その間に出された判決により法改正を不要にしたケースを紹介したが、初めて聞く話しであった。
 具体的な内容を紹介するのは避けるが、損害賠償額の認定、故意侵害の立証、情報開示義務違反、フォーラムショッピングなどである。


 また、改正法施行後のパテント・トロール訴訟状況については相も変わらず多く、種々の立法対策もあまり功を奏していないとの解説があった。
 パテント・トロール、お金になるので、対策を講じれば必ず抜け道を見つけ、まるでいたちごっこではないのかと思う。


 また、方法クレームの発明性を検討した最高裁判決を紹介し、発明性が認められるための基準(暫定基準)についての詳しい解説があった。
 クレームのプレアンブルではなく、ボディ部分に具体的な構造限定が不可欠で、これがないと、抽象的アイディア、精神的プロセス、自然法則、自然現象として捉えられて発明性が否定される(非発明と認定される)と、繰り返して強調していた。


 さらに、新規事項を含む優先権主張出願の取扱い(新法施行日前の親出願を基礎として優先権を主張し、新法施行日後に出願するケース)で、陳述が必要となる場合について具体例(例題)をあげ、Q&A方式で解説した。


 
 長時間のセミナーであったが、あっという間に時間が過ぎた。