ある小規模なものづくり企業さんの広報支援に
伺った時のことです。
社長曰く、
「画期的な商品ができたので、プレスリリースしたい」と。
ただ、理系オンチな私には、
説明のために見せて下さったグラフも組成表も、
はたまた特許の申請書類も、、、
何を意味するのかまーーーったく分かりませんでした。(^_^;)
今日も広報ジャーナリスト・堀美和子のブログにお越しくださり、
ありがとうございます。あなたに感謝ですっ!
説明が全く理解できない私
+
そんな私を理解できない社長
=噛み合うわけ・・・ない、、、んですよね。σ(^_^;)
(交わらない道路みたいに平行線のまま・・・)
しばら~く、そんなトンチンカンなやり取りを聞いてらした
商工会議所の方がズバリおっしゃったのが今日のタイトル。
「社長、前から申し上げてましたよね。
特許と認められることと、
お客さんが必要なもの(=売れる)とは
違うんじゃないですか、と。
技術そのものが云々・・・じゃなくて、
誰のためかとか、
その方たちにとって
どんないいことがあるのかが大事、
ってことですよね、堀先生。」
いや、まさにその通り。
鋭いっ!私が言いにくいことをよくぞ言って下さった!
って感じです。
(助け舟ありがとうございました。m(^_^)m)
長年その道一筋の技術屋さんにしてみれば、
特許が取れたのはスゴイこと。
それさえ掲げれば、お客さんは来るし、
メディアも取り上げてくれるだろう、って考える。
まるで、錦の御旗。
でも、私に通じないってことは、
記者にも一般の消費者にも通じない
ってことなんです。
みんながみんな、化学物理学のプロじゃないから。
それより聞かせてほしいのは、
件の商工会議所の方が口にされたこと。
〇それはいったい誰の、何の役に立つのか?
〇誰を幸せにする(したい)のか?
そして、
〇なぜそう思い、苦労して特許を取り、
具体的な活用場面を知らせてもらえれば、
その“画期的な商品”の、“画期的”という意味が分かります。
難しいスペック表で説明してもらわなくても。
例えば、
いっとき、体育館の床がささくれて、運動部の生徒が
ケガする痛ましい事故が続発しましたよね。
確か、床の経年劣化と長年の水拭きが重なったのが原因
と記憶しています。
恐らく今でも、危ない床はなくなってないと思います。(:_;)
そんな現状を、
「自分の子どももバレーボール部に入ってて、
毎日体育館の床に滑り込んでる。
危ない床が日本全国に広がってるとしたら
見過ごしにはできないっ!」
と、ある塗料メーカーの人が考えたとします。
どこの自治体も財政難だから、
今すぐ建て替えや大規模修繕はできない。
財源を手当てするまでの2~3年間、
床を保護し、危なくない状態にするワックスが
できないものか?もちろん健康上何の害もないものを・・・、
と考えて開発に取り掛かった。
最悪、子どもたちの命に係わることです。
不眠不休に近い状態で、
そこの研究所の研究員も総動員して、
驚異の1か月というスピードで開発し、
次の1カ月で安全試験、耐久試験まで終えた。
今は、量産体制に入っている。
もちろん、特許で独占することもできる。
しかし、特許取得を待っていたら、世に出すのが遅れる。
一刻の猶予もない。
今すぐこんな商品があることを、
メディアを通じて全国の自治体に知らせたい。
床をはがして修繕なら、少なくとも〇週間かかる。
これなら、塗布は半日、乾燥半日、翌日にはもう
安心して体育館を使ってもらえる、
ということだったら、どうでしょう?
(この話はあくまでフィクションです。)
恐らく、どんな下手くそなプレスリリースでも(ゴメンっ!^^;)
或いは、このまま書いて報道各社に送っても、
取材は来ると思います。
技術の裏付けとしてのデータやワックスの組成表なんかは、
やってきた記者に、或いは自治体関係者に、
或いは、体育施設の施工会社に、
見せればいいだけ。
初めから錦の御旗のように
それらを振りかざすことはありません。
技術はあくまで、奥にドーンと構えているもの。
一番前に出ていって、
「オラオラァ~、すごいやろ~!」と
ドヤ顔するもんとちゃうんちゃうかな~?って考えます。
技術は、活かされて、喜ばれて、初めて
“技術冥利に尽きる”んじゃないでしょうか。(^_^)/
ご訪問ありがとうございました。m(_ _)m
人気ブログランキングの応援をして頂けると嬉しいです。