あるB to Bの会社に伺って、「?」と思ったことがあります。




そこは、最終消費財を作るための材料を
得意先に供給する会社さんでした。

創業以来長い間、お客様は全て法人で、
直接消費者との取引はありませんでした。



しかし近年、「消費者にも売れそうものは直接売ろう」
ってことで自社HPに直売サイトを作り、
B to Cビジネスにも乗り出しました。




更に、これまで得意先のお客さんであったところにも
積極的にアプローチし始めました。

当然、利益相反が起こり、やがて。。。



今日も広報ジャーナリスト・堀美和子のブログにお越しくださり、
ありがとうございます。あなたに感謝ですっ!






その会社は、平たく言えば商社さんだと思って下さい。

商社と言えば、三菱商事、三井物産など、
原材料を調達し、メーカーに販売する業態ですよね。



そういうビジネスって、B to Bとはいっても、
実際はB to B to C。

※B to B to B to C等、
 中間のBの数はもっと増えることもあります。



最終のCがいるからこそ、中間のBに仕事ができ、
最初のBの商材が売れる。


つまり、中間のBの繁盛なくして、
最初のBの繁栄はない。




(私たちがタコ焼きを買うから、タコ焼き屋さんが儲かり、
 トレー、爪楊枝、小麦粉、ソース等の会社が儲かります。)



もちろん今の時代、多角化の一環として、
B to Cへの進出は大いにあります。

ただ、その場合でも、
既存のB to Bラインの妨げ(=中間のBの邪魔)
になるようなことは慎むのがビジネスの信義則だと思うし、

なにより利益の食い合いにならなくて済みます。



しかし、どっちつかずの状態で、
“自社がもうけるFirst”という態度を取り続ければ、

これまでの得意先である中間のBから
「なんやあの会社は?」と不信感を抱かれてしまいます。


そのまま走り続ければ、
これまで築いてきた信用も信頼も
いっぺんに地に落ちてしまいます。






売上が苦しいからと、
自社の儲けだけを考えて、

自分達の立ち位置や役目を
かなぐり捨ててしまえば、

後に待っているのは、、、
混乱と、取引先の離反しかない。






そんな混沌の淵に立った時に、
“危うい一線”を越えるのを思い留まらせてくれるのは、


創業時の想いであり、




長の歴史の中で、
得意先やお客さんから寄せられた
たくさんの感謝、だと思うんです。





「そんな昔のことが何の役に立つ?」と
訝しく思われるかもしれません。

しかし、あるニット糸の商社さんは、
繊維不況で危機に陥った時、

ある質問をきっかけに、今の
≪とにかくテッテーテキに取引先を応援する企業≫
に変身しました。


その質問とは、
「〇〇さん、もう糸って必要ないの?」
だったそうです。





そこの社長は、
「自分でも驚くほどムキになって」反論するうち、
≪自分の立ち位置≫がよみがえってきた、と。


そして現在では、
取引先のアパレルも自社も糸の生産各社も
共に繁盛する好循環を作り上げました。





あの高級ブランド、ルイ・ヴィトンだって、
“出自”を大事にし、それに沿う行き方をしてます。



東日本大震災の後、いろんな企業が被災地や
そこで活動するNPOを支援しましたが、

中には、支援でできたモノに
自社の名前を入れて下さい、という場合も少なくなかった。



けれど同社は、
「初代の実家が製材業だった」という理由で
NPO法人「森は海の恋人」を支援しただけでなく、

前述のように、
支援にかこつけて何かと自社を売り込もうとする
企業も多い中、

「仕事を失った仮設住宅の人たちを雇う
 人件費として使っていい」と言ってくれたそうです。
(同NPO理事長・畠山重篤さん談)






木に愛着があったがゆえに、

「私たちの運動は、山に木を植えるだけでなく、
 川の流域に住む人々の心にも緑を育てること。
 彼らはそれを見抜いてくれた」(同)





別にヴィトンを持ち上げるつもりはないですが、

◎自分たちは何者か
◎自分たちの立ち位置はどこか


を腑に落とすことで、こんなアメイジングが起こる。




私は改めて件の会社さんに問うつもりです。

「御社の役目って何ですか?
 立ち位置はどこですか?」
と。





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