22年前の今日、阪神淡路大震災が起こりました。

 

 

 

その頃はまだ会社員真っ盛り(←変な表現ですね^^;)で、
震災発生後しばらくは被災地のお客様に物資を送るのに
てんやわんやしてました。


その嵐のような状況が去った時、ふと
「あ、ここで自分のやらなアカンことをやらんとアカン」
って気づいて、

 

粉じん舞う神戸の町に、
一眼レフのカメラをかついで出かけたのです。

 


(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センターより拝借)

 

当時の私の“タコ足的仕事”(^_^;)の一つが
社内報だったからです。

 

 

今日も広報ジャーナリスト・堀美和子のブログにお越しくださり、
ありがとうございます。あなたに感謝ですっ!

 

 

 

 

 


直後の混乱は収まったとはいえ、まだまだ状況は錯綜し、
人手も時間も足りない神戸市とその周辺の支店や営業所。

 

そんな所に取材に行っていいんだろうか・・・?

 

悩みがなかったと言えばウソになります。
ちょっととはいえ、手を止めさせることになりますしね。

 

 

 

でも、「誰かが今の状況を伝え残さんとアカンねや」と
思い直した次の日には、現地へ行ってました。
    ↑
(ここらへん、記者根性が残ってます。^^;)

 

 

 

営業、設計、工事、アフターサービス、経理、総務etc.
みんなまだ緊張Max.な中で、最初はどの人も、

 

「がんばってます、大丈夫です」、
「お客様に甚大な被害がなくて本当に良かった」、
「〇〇がないので本社にはその支援をお願いしたい」、等々

 

「100%仕事言葉」で答えてくれました。

 

 

 

でも、第六感みたいなものが、

 

「確かにそうかもしれん。
 でもこれって“生(なま)の言葉”ちゃう」

 

と盛んに告げたんです。

 

 

「このままやったら、日報や報告書と同じになる。
 それはちゃうんちゃう?」

 

 

ただ、忙しい現場に長居はできません。

その日は周囲の状況などを写真に収め、
素直に帰りました。

 

 

 


日を改め、二度三度と足を運ぶうち、

ある寡黙な設計マンがもっと寡黙になり、

広げていた図面を見つめながらボソッと呟きました。

 

「お客様から(建物の)強度上、
 無理な設計を頼まれたことがありました。

 

 でも『万一の時、ご家族を守れませんからできません』と
 断りました。

 

 その時は『融通がきかん!』と怒られたんですが、
 地震の後、点検とお見舞いに伺ったら、

 

 『あの時、よう「できません」と断ってくれました。
  おかげさんで、周りがこんな(ひどい)状況でも、
  ほとんどなんともありません。

 

  ご近所の方には申し訳ないとも思いますが、

  助かりました。ありがとうございました』

 

 と言われたんです」。

 


(被災地の航空写真。神戸市Webサイトより。)

 

 

 

 

ヘルメットも取らないまま話をしてくれた工事担当者は、

 

「ブルーシートとお水を持ってお客様宅に伺うと、

 『うちは大丈夫だから、それ、お隣に持って行ってあげて』
 っておっしゃるんです。

 

 『あなたがいい仕事をしてくれたから、
  うちは幸いなんともないんです。ほんまありがとう』

 

 その言葉を聞いて思わず涙が出ました。

 

 気がつくとお客様と手を取り合って
 『お互い無事で良かった』と言ってました」と。

 


(同上)

 

 

 

また、それまで饒舌だった営業マンは、
机の端に置いてあった愛妻弁当の包みが目に入った途端、

 

「『朝早うから夜遅うまで帰ってけえへんのが心配や。
  それに私らも不安でいっぱい。

 

  そやけど、今は何言うてもアカンね。
  思う存分仕事してきて。家のことはみとくから』

 

 って言われたんです。

 

 申し訳ないと同時にありがたいと思いました。

 この弁当もそんな思いで作ってくれてるんやな、って」

 

と、微笑みながらつぶやいたんです。

 

 

 

 

 

ああ、私はこの言葉たちを拾うために、
ここに来たんだな、って腑に落ちた瞬間でした。

 

そんな言葉に出会うために、

表面的な“軽い”言葉ではなく、
心の底からの、

“重みのある生(なま)の言葉”を拾うために。

 

 

 


それ以降、全国で活躍する社員たちを訪ね歩きました。

 

素のままのその人から出てくる言葉は、
「たかが社内報」を、
「たかが」な存在ではなくしてくれました。

 

会社の危機にも一役買うことができました。

 

 

 

 

思い起こせば、超スパルタな先輩記者の下で、
汗と涙と鼻水を垂らしながらあせる

インタビューの腕を鍛えられました。

 

社内報の編集長時代は、

それを実践し、数々の人の懐に入り込ませてもらいました。

 

 

 

それらの経験があるからこそ、今、

ありふれた言葉の奥に隠れている、

 

人や会社のキラッと光る独自の魂/個性を

見つけ出させてもらえてるんだな、って痛感します。

 

 

 

 

 

横並び、みんな一緒になりがちな今のビジネス環境の中で、
ありのままの自分/自社を見せれば、すごく光ります。

 

オモシロい!と評価してくれる人さえいるかもしれませんし、

それが突破口になって会社の窮地を救うかもしれない。

 

そんなお仕事をさせてもらってるんだ、って。

 

 

 

 

 

自分のできること、やるべきこと、やりたいと思うことには、
こんなふうにちゃんとした訳があるのだと思います。

 

あなたの中にも、きっとある。

 

一度、しっかりと深く見直して頂ければな、と思います。

 

 

 

それは、目の前のお客様と、まだ見ぬお客様にとって、

 

「なぜあなたやあなたの会社・商品を選ぶのか」の
強烈な理由づけになりますから

 

 

 


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