千葉県鎌ケ谷市在住の弁理士かめやまです。  

 

 

少し前の話、「AI vs 弁理士~商標調査対決」というイベントがありました。

 

※イベントサイトのリンクは、http://tokyocultureculture.com/event/general/28501 ですが、

 サイトが亡くなっちゃっているようです。

 イベントの詳細を知りたい方は、イベント名で検索すると、

 取り上げている記事が見つかると思いますのでそちらをお読みください。

 

イベント内容は、商標調査について、

 

 AIと弁理士のどちらが、より正解(というか人間の審査官の結果)に近いか?

 

というものです。

 

 

 

弁理士の仕事の大きな一つとして、

 

特許権、意匠権や商標権等を取得する権利化業務があるのですが、

 

その1つの商標権に関し、

 

 果たして、本当に権利取得できるか否か?

 商標調査について対決してみましょう~

 

というもの。

 

 

 

この企画を聞いたとき

 

面白さもありましたが、

 

「なんだかな~」という気持ちも多かったです。

 

 

 

なんだかな~と思った理由。

 

弁理士の仕事って、権利化業務が全てではないです。

 

また、権利化業務の中でも重要な位置を示す調査業務についても

 

 単に、権利が取れるか否か?

 

ではなく、

 

 経営に貢献する活動(権利取得を含め)できる否か?

 

が本来の姿だと思っています(私見です)。

 

 

 

そうだとすると、弁理士の仕事として、

 

 審査結果が予見しにくい審査の問題について見通しを出すこと

 

これもちろん大切な要素です。

 

が、そちらよりも

 

 問題となっている商標が果たして、その企業の経営に貢献するか?

 

 その企業の競争力につながるのか?

 

 その企業の売り上げに貢献するか?

 

 その企業のブランド向上に構築するか?

 

 その企業の社員にモチベーションに貢献するか?

 

ということのほうが大切なことだと思いますし、

 

 その目的を達成するための権利範囲は十分は広さか?

 

 その目的を達成するための活動(出願以外)はどのようにすべきか?

 

この辺をひっくるめて弁理士の仕事だとおもっています(繰り返しになりますが、私見です)。

 

※そうしないと、商標が経営に貢献できないと思っているためです。

 理由については、昨日の記事もお読みください。

 

 

 

そうだとすると、

 

弁理士の仕事の断片化された業務を取り出して

 

AIと対決させても、

 

その結果は、

 

断片的な「AI vs 弁理士」の結果であり

 

本質的な意味での「AI vs 弁理士」にはならないと思います。

 

 

 

もちろん、イベント名としては

 

「AI vs 弁理士~商標調査対決」

 

となっており、

 

「AI vs 弁理士」ではありません。

 

なので、「AI vs 弁理士~商標調査対決」の結果から

 

直ちに「AI vs 弁理士」の結果に結びつけることは飛躍があり、

 

そのような考えに至らないだろうという見方もできます。

 

しかし、

 

「AI vs 弁理士~商標調査対決」

 

のうち、印象が残りやすい部分は、

 

「商標調査対決」ではなく「AI vs 弁理士」であり。

 

※商標の世界では、これを要部といいます。

 

 

 

そうすると、

 

「AI vs 弁理士~商標調査対決」から始まった事実も

 

人から人への伝播や時間の経過によって

 

「AI vs 弁理士」として人々の記憶に定着されやすいだろうな思います。

 

 

 

そして、万が一、「AI vs 弁理士」の勝負でAIがいい勝負をしたとすると、

 

「AI vs 弁理士~商標調査対決」で AIがいい勝負をした

 

ではなく、

 

「AI vs 弁理士」 でAIがいい勝負をした

 

と、いう情報が定着した結果、

 

 知的財産に対する誤解

 

 弁理士に対する誤解

 

 弁理士のブランドの棄損

 

にもつながりかねません。

 

※弁理士が勝った場合には、↑の「弁理士」を「AI」に読み替えてもらえればOKです。

 

 

 

このように、断片的な結果から、

 

知的財産の本質をみずに、弁理士という職業の全体を判断されることは、

 

とても危険な気がします。

 

このことは、弁理士に限られません。

 

例えば、特許庁に審査官についても同様のことがいえます。

 

というのも、知的財産の法律は、

 

他の法律のような人権などの性格よりも、取引のルールの性格が強く、

 

その本質は、国家の経済政策に基づくものだと思います。

 

そう考えると 特許庁の審査も、AIに丸投げとはゆかず・・・

 

※まさか、外資系のAI・・・なんてね~

 

 

 

いずれにしても

 

中小企業にとってイマイチ浸透していない知的財産や

 

その戦略を構築するマイナーな職業である弁理士が、

 

「AI vs 弁理士」という象徴的なワードと、

 

断片的な競技の結果によって全体が印象付けられてしまうのはやはり危険ですし、

 

中小企業としても危険だと思います。

 

 

 

「AI vs 弁理士~商標調査対決」というイベント。

 

弁理士に馴染みのない人には興味をそそられます。

 

このため、AIを推進する事業会社から見れば、よいPR企画だと思います。

 

※想像ですが、事業会社の立場から見れば、

 弁理士との対決に持ってこれるまでAIが進歩したことで

 初めてこのイベント企画が成立するはずです。

 ぼろ負けは、事業会社から見れば、ホント痛いですからね

 そうだとすると、AIの善戦は期待できるような条件で対決をしたという見方もできます。

 

弁理士としてみたときに、

 

弁理士の本来の仕事からずいぶん狭められたフィールドでの対決なので、

 

「なんだかな~」と思っていしまいます。


 

 

 

結局のところ、

 

それぞれの前提となるフィールドが異なるため、単純な比較はできないでしょう。

 

比較を単純化するために、

 

AIの一部と、弁理士の一部を切り出して対立構造を作っているだけなので

 

この結果だけを見て、「AI vs 弁理士」の判断することは、

 

AIにとっても、弁理士にとっても、本質的ではないように思えます。

 

※AIにとってみれば、もっと、いろいろな分野で対決した結果、総合的に判断するしかないでしょう。

 

 

 

AIも弁理士も、お互いに長所と短所を持ち合わせているので、

 

対決ではなく、お互いの良いところを補完することが理想形なのでしょう。

 

 

 

今後も、「AI vs ○○(弁理士に限らず)」のような対決イベントがあると思いますが、

 

どのような結果になっても、

 

 まぁ、そういう部分もあるよな~

 

と捉えてもらえれば幸いです。

 

 

 

このブログを応援してくださる方、下の3つのバナーを、ポチポチっと投票してくださいませ!

にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ
にほんブログ村(IN)

 

鎌ケ谷オフィス(2018/7/13から)
 千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷1-7-22 シェリール401号室
  新鎌ケ谷駅から徒歩5分 
 
 
 
柏の葉サテライトオフィス 
 千葉県柏市 若柴178 番地4 柏の葉キャンパス148街区2 
 柏の葉キャンパス駅から徒歩5分
 
 

 

 

千葉サテライトオフィス

千葉市中央区富士見1-14-13 千葉大栄ビル8F(千葉公証役場の隣)
 千葉駅から徒歩5分

 
  
 
 


秋葉原サテライトオフィス

東京都台東区浅草橋5-8-11 AKIBA EAST ビジネスセンター 2階

 山手線他「秋葉原」徒歩8分、総武線他「浅草橋」徒歩6分


 

 

PVアクセスランキング にほんブログ村