「マサズ劇場」その100 お礼  | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。

 

「寺田くん、年始の営業案内出してあったかな?」

 

「あ、もうだいぶん前にホームページに出してますよ。」

 

「店の前にも貼ってある?」

 

「ええ。もう貼るだけになってます。」

 

「香港のSさんの時計は? もう発送した?」

 

「さっき、郵便局からEMSで出しました。」

 

「そう。 あ、イケね。 荷物の追跡番号、メールしなきゃ! あ、留守電も変えてねー!」

 

師走とはよく言ったもんで、バタバタしているうちにマサズパスタイムの今年も、幕を閉じようとしている。

 

 

2023年は、うちにとって新鮮な年だった。

 

2月には、香港のThe Armouryのトランクショーに参加し、初めて海外で時計の紹介をした。

 

国内のお客さんとは、明らかに違う視点、要求。

 

えー、これが気に入らないっていうのー?みたいなことがあるかと思えば、こんなのこっちからすると当たり前だけど、そんなに感心されることなんだー、みたいな驚きもあって、、、言うなれば、川から海に出てきた魚みたいなショックを受けた。

 

 

年々もやりかけては止め、止めては始めを繰り返してきたオリジナルウォッチの製造も、ようやく先が見えてきたのが春先から夏頃だったか。

 

ちょうどその頃、篠原のNayutaモデルの発表が近づいていた。

 

 

一体、この時計をどういう風に発表して、どう受注するべきか?

 

ヘタなやり方をして、発表したはいいけどまったくの鳴かず飛ばず、なんてなったらどうしようかと。

 

篠原はもちろん、私にとってもこれは初めての経験でかなり不安があったけど、、幸いなことに充分な反響、ご注文をいただいて、ホッと胸を撫で下ろしたのが10月。

 

 

そこから先は本当にあった言う間だったが、その間、機械類の補充や修理、材料の購入、ケース他の外注部品の支払いなど、何100万円単位の請求書が矢のように飛んできて、「こりゃあ、またしばらく製造の手を止めて修理や商品の製作やらんとまずいかなぁ」なんてなった瞬間もあった。

 

でも、そういう時にパラパラと大口の注文をいただき、助けられる。

 

こりゃあ、なんとかなりそうだな。 よし、春先の那由他モデルの納品やMP 1の発表に向けて、全員で一気に進めよう。

 

つい最近、そんな風に思えるようになったというのが正直なところ。

 

 

 

毎年同じことを言っているが、こればかりは本心だから仕方ない。

 

常日頃忘れずにいるつもりではいるけど、、最終営業日のこの日になると特に、ご贔屓の皆さんへの感謝の気持ちで胸が一杯になる。

 

ご存知の通り、今年の5月から、それまで税込み表示だった商品や修理の価格が税別になって、実質1割の値上げになった。

 

当然、面白くない気持ちになる方も多かったに違いないけど、、将来のある若者が夢を持てる店にするため、私自身も家族を養っていくため、正直、仕方がなかった。

 

それだけに、今でも変わらずパスタイムにいらっしゃる方には、なんとお礼を言えばいいのか?

 

 

20代のオニイちゃんだった私が始めた小さな店が、荒波にもまれながら今日まで持ちこたえているのは、間違いなくそういうお客さんのおかげ。

 

うちは古い時計が直せるぞ、時計だって作れるぞ、なんて自信を持とうが生意気言おうが、、しょせん、相手にしてくれる人がいなければ、店なんか消えてなくなる運命なのだ。

 

それだけは、決して忘れない。

 

 

あらためて、皆さんに、心からお礼を言わせてもらいたい。

 

本当に、本当に、ありがとうございます。

 

そしてこれからも、よろしくお願いいたします。

 

 

良い年をお迎えください。

 

 

マサズ パスタイム 中島正晴

 

 

 

 

 

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