成人式の日、子ども達を連れて沼津に行った。
いつもなら私が必ず釣りに出掛ける 「晴天の月曜日」 が運悪く?子供たちの 「冬休み最後の日」 と重なったため、、、、「たまには釣りは諦めてどこかへ連れて行け」 となったのだ。
カミさんを通じて子供達の希望を聞くと、「イチゴ狩り」 と 「水族館」 が候補に挙がり、、、「旨いうなぎが食いたい」 というカミさんの希望も含めて、「全ての条件を満たす場所」 ということで、沼津に決定。
日曜の晩、翌日釣りに行けないストレス?を発散するべく 「ハモニカ横丁」 でヤケ酒を呷った私は、、、お約束の 「二日酔い」 。
しかし、軽い頭痛を伴ったまま早朝叩き起こされ、朝飯抜き、頭はボサボサの状態でそそくさと出発した。
「早くしないとイチゴが甘くなくなっちゃう!」 とのことで 急いで東名高速に乗ったのだが、、、いきなりまさかの 「事故渋滞」
「おいおい、ホントかよー」 と、出足からつまずいた。
ご存知の方も多いと思うが、、、イチゴは早朝が一番甘く、日中になると次第にその甘み成分が茎や葉っぱの方に行ってしまうらしい、、。
快晴無風の日和に釣りに行けないもどかしさ、二日酔い気味な上に空腹、そこへもってきての事故渋滞で、、、朝っぱらからどうにもイライラがつのる。
しかし、何とか予定より一時間ほど遅れで、沼津インターに到着し、そこから二十分ほどの 「江間」 の集落へ。
そこで、空きっ腹に思いっきりイチゴを詰め込み、、、何とか一息ついた。
甘くて美味しいイチゴを頬張って一同満足したところで、、、次は水族館のある沼津港へ。
港に着いて水族館前の船溜まりに降り立つと、、、地元の爺さん婆さんらしき人達が釣り糸を垂れている。
とりあえず水族館は置いておいて、、、、80年配のお爺さんに 「何が釣れるんですか?」 と聞くと、「釣れるまで分かんねェ」 と一言。
しかし、釣れないから不機嫌、という訳でもなく、、、なんだかニコニコしている。
一応仕掛けは海の中に入っているし、足元にはコマセや餌が置いてあるから、「釣るつもり」 はあるようだが、、、、何とものんびりしていて、どっちでもいいや、という様子。
そのうち、しきりに海の中を覗き込んでは魚を見つけてキャアキャア言っている娘達に、隣で釣っていたお婆さんは世話を焼いてくれている。
こちらの方も同じく釣り糸は海の中に垂らしてあるが、、、全くやる気は見えない。
海は干潮一杯で潮の流れも止まっていて、、、魚が餌をつっつく気配は無い。
そのうちお婆さんの方が竿を片付けだすと、お爺さんが聞いた。
「午後も来るかい?」
「うん。」 とお婆さん。
「昨日釣れなかったから、今日はきっと釣れるぞ」 と言いながら、、、お爺さんは笑っている。
どうやらこの人たちは毎日ここに集まり、釣りをしているようだ。
いや、 本当は 「釣りをしにくる」 というよりは、、、ただお互いの無事を確かめ合っているようにも見える。
夕方5時過ぎの東名高速。
結局 「深海水族館」 も 「老舗のうなぎ屋」 も、期待したほどのものではなかった。
おまけに高速道路の渋滞情報には、またもや 「厚木~18キロ事故渋滞」 の表示。
後部席では、はしゃぎ過ぎて疲れが限界に達した次女がぐずり始めている。
しかし、、、私の気分は何故か穏やかだったのだ。
爺さん婆さん、、、楽しそうだったなー。
気が向いた時にふらっと港に出掛けてゆき、、、、釣り糸を垂れる。
そこには誰かしら気の知れた仲間がいて、言葉を交わす。
次の日も、そのまた次の日も、、、、気が向いたらいつでも来ればいいのだ。
孫でも遊びに来た時には、ちょっと本気になって釣った魚を食わせてやったり。
釣りを教えてやっても喜ぶかもしれない。
「晴耕雨読」 ではないが、、、雨が降ったら、思う存分時計をいじればいい。
何も考えずに、遊んでいれば良かった子供の頃のような日々。
そんな 「楽しげな老後」 を夢想しながら、、、ハンドルを握っていたのだ。