「究極のエコ」 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

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ピンセットが折れた(>_<)。


商売柄、たくさんのピンセットを使うが、その中でも特に気に入って使ってきた奴が、。



時計の修理自体でピンセットを折ることはまずないから、大事にすれば相当長いこと使えるものだが、折れた奴はもう十五年以上慣れ親しんでいるものだった。

ちなみにそのピンセットは、私がアメリカの時計ショウで見つけた時、新品ではなくて既に相当な年代物だった。


なんていうことのないシンプルな道具だけど、実に長持ちするもんだなー。


今日折ってしまわなければまだまだ充分使えたのに、、。


少なくとも私がこの世からいなくなっても、現役でいけたのだ。


残念無念。 本当に、ちょっとした不注意だったんだけど、、。



ちょうど、取り掛かっていた時計がキリ良く完成し、作業台の工具達を引き出しにしまったところで電話が鳴った。


開いていた引き出しを閉めつつ受話器を取りあげたところ、「ブスッ」。


あろうことか、引き出しの中で僅かに収まりきっていなかったピンセットの先が机の内側に刺さってしまったのだー


電話を切ってから、恐る恐るそーっと引き抜くと、、、折れた一方の先端は机にめり込んだまま、という訳。



折れたのは、時計の部品の中でも最も繊細なヒゲゼンマイを扱うための専用のもの。


でも実のところ、コイツの使命はまだ終わった訳じゃない。


折れた一方ともう片方を同じ長さに削り落として加工し、全く別の用途に使えるのだ。


新たな使命を負って、今再び甦る!! これぞまさしく、究極の「エコ」 !!



いつの日かこのピンセットを引き継いで使うものが現れると信じて、これからも大切にしてやろう。