エルガー『エニグマ変奏曲』(謎の変奏曲)作品36 | クラシックばっか 時空間

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今日 6月19日は、エドワード・エルガーの『エニグマ変奏曲』(謎の変奏曲)作品36 が初演された日です。

 サー・エドワード・ウィリアム・エルガー(1857~1934)は、「愛の挨拶」や行進曲「威風堂々第1番」などでよく知られるイギリスの作曲家です。

 

サー・エドワード・エルガー

 

 

今日ご紹介する通称『エニグマ(謎)変奏曲』の正式名は、『管弦楽のための独創主題による変奏曲』であり、1898年に作曲され、1899年の今日 6月19日、ロンドンのセント・ジェームズ・ホールでハンス・リヒターの指揮により初演されました。

 

 

 

本作品は初演で大成功を収め、エルガーの名前はたちどころにイギリス国内に知れわたるようになり、翌1900年に行われたドイツ初演でのオラトリオ『ゲロンティアスの夢』の成功も相まって、その名を世界的に知られるようになりました。

 

 

 

本変奏曲は、4/4拍子で(6小節のト短調の楽句と対照的な4小節のト長調の楽句を持った)10小節からなる主題と14の変奏曲で構成されます。

 

 

 

この14の変奏曲には、人物のイニシャル等が示されていて、それが誰なのかが謎の1つでしたが、今日では熱心な研究家たちによってほぼ解明されています。

 

 

 

各変奏は、彼の友人たちへの親しみが込められた肖像画的作品となっています。

 

 

 



本「エニグマ(謎)変奏曲」は、主題と14の変奏曲(全15曲)で構成されます。

 


・主題: Andante、ト短調 ー ト長調
・第1変奏 L'istesso tempo 「C.A.E.」  ト短調
    作曲者の愛妻キャロライン・アリス・エルガー(Caroline Alice Elgar)
     の頭文字

 

 

・第2変奏 Allegro 「H.D.S-P.」  ト短調
    ピアニストのヒュー・デイヴィッド・ステュアート=パウエル
     (Hew David Stuart-Powell)

 

 

・第3変奏 Allegretto 「R.B.T.」 ト長調
    アマチュア俳優でパントマイマーのリチャード・バクスター・

  タウンゼンド
     (Richard Baxter Townsend)

 

 

・第4変奏 Allegro di molto 「W.M.B」  ト短調
    グロスターシャー州ハスフィールドの地主のウィリアム・ミース・

  ベイカー
     (William Meath Baker)

 

 

・第5変奏 Moderato 「R.P.A.」  ハ短調
    大詩人マシュー・アーノルドの息子でピアニストのリチャード・P・

  アーノルド
     (Richard P. Arnold)

 

 

・第6変奏 Andantino 「Ysobel」  ハ長調
    エルガーのヴィオラの愛弟子イザベル・フィットン(Isabel Fitton)の

  愛称
・第7変奏 Presto 「Troyte」  ハ長調
    建築家アーサー・トロイト・グリフィス(Arthur Troyte Griffiths)

 

 

・第8変奏 Allegretto 「W.N.」  ト長調
    エルガーからのんびり屋と見なされていた優雅な女性
     ウィニフレッド・ノーベリー(Winifred Norbury)

 

 

・第9変奏 Adagio 「Nimrod」  変ホ長調
  楽譜出版社のノヴェロ社に勤めるドイツ生まれのアウグスト・
      イェーガ(August Jaeger)の愛称

 

 

・第10変奏「間奏曲」 Allegretto 「Dorabella」  ト長調
     ドーラ・ペニー(Dora Penny)の愛称(ウィリアム・ベイカー

  (第4変奏)の
     義理の姪で、リチャード・タウンゼンド(第3変奏)の義理の姉妹

  にあたる)

 

 

・第11変奏 Allegro di molto 「G.R.S.」  ト短調
    ヘレフォード大聖堂のオルガニスト ジョージ・ロバートソン・

  シンクレア
     (George Robertson Sinclair)の飼い犬(ブルドッグ)のダン(Dan)

 

 

・第12変奏 Andante 「B.G.N.」 ト短調
    後にエルガーがチェロ協奏曲を作曲するきっかけとなった

  チェロ奏者の
     ベイジル・G・ネヴィンソン(Basil G. Nevinson)

 

 

・第13変奏「ロマンツァ」 Moderato 「* * *」  ト長調
    メンデルスゾーンの演奏会用序曲『静かな海と楽しい航海』からの   引用楽句が含まれることから、

  当時オーストラリアへの航海の途中であった友人の
     メアリ・ライゴン夫人(Lady Mary Lygon)か、もしくはかつての

  エルガーの婚約者で、1884年にニュージーランドに移民した

  ヘレン・ウィーヴァー  (Helen Weaver)

 

 

・第14変奏「終曲」 Allegro Presto 「E.D.U.」  ト長調
    「エドゥー」はアリス夫人がエルガーを呼ぶときのエルガー自身を

  指す愛称


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■演奏:フランス国立管弦楽団、
指揮:ピエール・モントゥー(1875年4月4日パリ - 1964年7月1日アメリカ ハンコック)

 

 

■2019年6月19日 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

常に試みようとする気力を養おう。(あれこれ試してみよう。)