今日 1月7日は、リムスキー=コルサコフの歌劇『サトコ』の初演日である。
ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ(1844~1908)は、「ロシア五人組」の一人であり、色彩感あふれる管弦楽曲や民族色豊かなオペラを数多く残したロシアの作曲家である(歌劇は全15作品)。
今日ご紹介する歌劇『サトコ』は、中世の口伝えでの伝承(口承)叙事詩(ブィリーナ)に歌われた男性主人公 サトコの物語により、旧作の管弦楽曲「サトコ」の楽想を数ヵ所借用して作られた1幕7場よりなるオペラ作品である。
台本は作曲者とヴィリーナの研究者であったウラディミール・イヴァノヴィッチ・ベルスキーによって作成され、1895年の春頃からスケッチを開始し、完成したのは翌96年である。
初演は、1898年の今日、1月7日に、モスクワのスロドゥニコフ劇場にて行われている。
本「歌劇」は、前奏曲「青海原」の後 幕が開き、バルト海の商業都市ノヴゴロドを背景に、にぎやかで威勢の良いノブゴロド商人組合の広間で、商人たちの合唱から始まる。地元出身のグースリ(膝に置いてつま弾いていたとされるロシアに伝わる弦楽器)弾きのブィリーナ歌手 サトコ(Ten)が海の帝王(Bas)の娘ヴォルホワ(Sop)の助けを得て海に乗り出し、数奇な運命を辿る。
最後の場面(第7場)では、ノヴゴロドを望む丘の上に寝転がったサトコ(Ten)の額をなでながら優しい「子守歌」を歌い終わった王女ヴォルホワ(Sop)は溶けて、美しい小川となって流れ始める(現在のノヴゴロドを流れるヴォルホフ川の名前の由来)。
そして、妻リューバワ(Mーsop)の歌声に我に返ったサトコ(Ten)は、妻との再会を喜び、別れ離れになった商船隊とも再会し、ノヴゴロドはより一層栄え、ハッピーエンドに終わる物語である。
前奏曲「青海原」のモティーフは、波のうねりの様子と歌劇全体の雰囲気を暗示するとともに、海を表現する場面でたびたび用いられる。
海の描写力に関しては、ロシア海軍軍人で艦隊を組んで海外遠征も体験しているリムスキー=コルサコフならではの優れたものである。
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□前奏曲□(演奏時間:約2~3分)
■■ 「前奏曲」□ ▶ Svetlanov conducts Rimsky-Korsakov - Introduction to 'Sadko': "The Blue Sea" - YouTube
■動画■ 「前奏曲」□ ▶ Rimsky-Korsakov: Sadko (opera): Overture - YouTube
□インド人(商人)の歌(Ten)□(演奏時間:約5分)
(奇跡を起こしたサトコの求めに応じて、
各国(ノルマン人、インド人、
ヴェネツィア人)の商人が歌う場面で。)
■動画■ インド人(商人)の歌(Ten)□ ▶ Sadko - Song of India (Gegam Grigorian).VOB - YouTube
□動画□(全曲)(上演時間:約2時間51分)
(王女の子守歌の場面は、2時間34分02秒~)
■動画■ (全曲)歌劇『サトコ』□ ▶ БОЛЬШОЙ ТЕАТР - САДКО - 1980 / Rimsky-Korsakov - SADKO - Bolshoi HQ - YouTube
(※ロシア五人組に関する参考記事)
2013年
1月18日 ・キュイ 「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」
1月 2日 ・バラキレフ 「イスラメイ」(東洋的幻想曲)
2012年
11月12日 ・ボロディン 歌劇『イーゴリ公』より,「序曲」,他
10月 7日 ・リムスキー=コルサコフ 「4つの音楽的絵画」
3月28日・ムソルグスキー 交響詩 「はげ山の一夜」
3月18日 ・リムスキー=コルサコフ 「シェヘラザード」
2月 6日・ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」