リスト 「ダンテの『神曲』による交響曲」(ダンテ交響曲)S.109 | クラシックばっか 時空間

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 今日 11月7日は、フランツ・リストの「ダンテの『神曲』による交響曲」が、初演された日である。
  フランツ・リスト(1811~1886)は、ドイツやオーストリアなどヨーロッパ各国で活躍したピアニストであり、作曲家である。ハンガリー生まれであるが、作曲家としてはドイツロマン派(新ドイツ楽派)の中に位置づけられ、交響詩の創始者として知られる。

 今日ご紹介する「ダンテの『神曲』による交響曲」(通称「ダンテ交響曲」)S.109 は、フランツ・リストが作曲した2つの標題交響曲のうち『ファウスト交響曲』に続く2作目の作品である。
 若い頃からダンテの愛読者であったリストは、本交響曲に先だって、1837年にはピアノ曲『巡礼の年 第2年 イタリア(全7曲)』の最終曲(7曲目)で『ダンテを読んで』の第1稿を書いている(改訂第2稿は49年)。
 『神曲』による交響曲も早い時期から構想しており、1847年頃にはすでに主要な主題のスケッチを書き始めていたが、本格的に着手したのは、1855年になってからである。
                
 当初は『神曲』の構成に合わせて「地獄」「煉獄(れんごく)」「天国」の3楽章の構想であったが、作曲を開始してから後に、ワーグナーに宛てた手紙の中でこの交響曲の構想を明かしたところ、「天国の喜ばしさを音楽で表現するのは不可能だろう。」というワーグナーの意見が返ってきたため、計画を変更。「天国」を削除し、「煉獄」の終わりに「マニフィカート(あがめ奉るの意)」を女声合唱(または児童合唱)で歌わせて、天国を仰ぎ見つつ終結するという形に修正した。(マニフィカトとは、「マリアの賛歌」ともいわれ、新約聖書「ルカによる福音書(ルカ伝)」第1章のマリア賛歌から歌詞をとったキリスト教聖歌である。)

 曲は作曲開始から1年余り経った1856年7月に完成し、翌1857年の今日、ドレスデンの王立歌劇場で、作曲者リスト自身の指揮により初演が行われた。

 なお、彼の作品につく作品番号は2種類あるが、サール番号(S.)はイギリスの作曲家ハンフリー・サールが分類した曲目別の目録番号であり、ラーベ番号(R.)はリスト博物館館長のペーター・ラーベによる曲目別の番号である。現在ではサール番号が使われることが多い。

 本楽曲は、2つの楽章(第1楽章「地獄」、第2楽章「煉獄」(小罪を犯した死者の霊魂が天国に入る前に火によって罪の浄化を受けるとされる場所、およびその状態で、天国と地獄の間にあるという。)からなり、第2楽章「煉獄」の終わりにマニフィカトの合唱が演奏され、終結する。


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             (演奏時間:約53分)
■■ 「ダンテの『神曲』による交響曲」(ダンテ交響曲)S.109 □ Sinopoli conducts Liszt - Dante Symphony - YouTube