こんにちは!
設計の山下です。
今回は「室内の換気」、について。
換気は換気扇で、という考え方以外に、自然の力で換気をする方法について紹介します。
弊社の書籍、「本質を暮らす贅沢な家」 田中慶明 若林礼子著 ほたる出版 より
PAC住宅は夏のシステムとして、床下や内壁そして天井裏をつないだ躯体内空間に発生する空気の流れを積極的に活用している。そのためのキー部材として屋根の棟部分につくスーパー越屋根換気口がある。空気の温度差と風の力を使い、モーターやファン等機械はない。このスーパー越屋根換気口を室内自然換気に応用した。簡単にいうと、ロフトの天井にこの換気口と連通する換気ダクトをつくり、室内とガラリで仕切っただけである。スーパー越屋根換気口の特徴は負圧利用にある。すなわち風は吹き込んでくることはなく引き抜き一方である。冬以外は、各所に設けられたジャロジー窓を開いて外気を採り入れ最上部のスーパー越屋根換気口から抜けるという風通しが得られる。ジャロジー窓の幅は人が通れないサイズであるから開け放しでも安心安全である。
冬はジャロジー窓は閉じるが、最上部のスーパー越屋根換気口は開いたままである。開き具合は調整できるので、2月現在は半分程度開いている。この換気口はロフト上部にあるが、ガラリ直下に食卓という配置になっている。ガラリから外部の冷気が侵入しロフトも冷え冷え、食卓の足元にも隙間風がと思われる方もいるだろうが、現実にはそうしたことは全く感じない。我々2人が鈍感ということではなく、ロフトとリビングに設置された温湿度計もそれを証明している。
いわば斜め天井の最上部に、雨も冷気も入ってこない細長の大きな穴がいつも開いている状態といえる。気密のよい大空間、その最上部に1ヶ所穴が開いている。もし他に穴があれば空気の流れは生ずるが、1ヶ所だけでは風の流れは生じない。それでいて塞がれてはいないという不思議な空間である。この空間のメリットの1つとして、ドアを開閉したときの空気のバウンドがない。ある程度の気密性を有する空間では、ドアの開閉により空気の圧力連鎖が生じ他のドアががたついたり、開け閉めしているドア自体に圧力を感じたりするが、尾山台の家ではそれが全くない、何しろ、一番てっぺんで外に抜けているのだから。同然に機械音も微振動もない。
屋根のてっぺんに設置する、「スーパー越屋根換気口」で室内を換気する。
吹抜けの天井に設置したガラリから換気される。
・・・続きは書籍にて
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