「ねえ、幸福のかたちは一様で不幸のかたちはそれぞれだとかいうじゃない?でもそれって踏み出さない人達の言い訳だと思うの。結婚ってとってもいいものよ?そもそも踏み出さなきゃ始まらないでしょう?」
「うん、その通りだと思う。君の旦那はかつて僕の同級生で初めて出会ったとき一晩中酒を酌み交わしながら僕にイングヴェイの素晴らしさについて語ってくれた。彼の幸福とは言えない出生から音楽と出会うまで、数ある楽器の中でなぜギターを選択したのか、彼が影響を受けたミュージシャンからクラシックにルーツを持つ作曲技法やら何やら、微に入り細に入り話してくれた。僕はその音楽を聴きたくて堪らなくなって二日酔いで痛む頭を蹴飛ばしながらレコード屋を巡って見つけたイングヴェイのレコードを買いあさったよ。翌日にはイングヴェイの信奉者になっていた。彼はイングヴェイを聴いたことなんて一度もないのにね。」
「ねえ、幸福のかたちは」
「うん、皆似てるよね」