不比等、ちゃんとしなさい(怒)。 | 夜に啼く鶯

夜に啼く鶯

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秘して伝える。墓場まで持っていく訳ではないけれど大っぴらにする訳でもない。特定の、恐らくは少数の人にだけ伝えたい。秘伝のタレとか言いますね。

これ秘密だからね?絶対言っちゃだめだよ?と、とりあえずの枕詞と共に満面の笑みで語られ駆け巡る内緒話とは性格が違う。

 

秘する訳ではないけれど密室で伝えられることもある。

風呂の入り方とか排泄の作法とか。明確な記憶はないがたぶん教わったのだろう、おそらくは母によって。

はい、シーして、シー。暖かい母に後ろから抱かれ、生暖かい液体が蹲る私の尻を伝い、唐突にこめかみから棒が突き出たあひるに落ちていく。そんな光景が思い出される。モチモチの木の思い出

かもしれないけど。

伝言ゲームにはエラーが付き物。基本アホな雄という魔物が絡めばなおさら。

初めて夜を共にするともなれば密室で行われることのオンパレード(オンパレード)で作法の違いに驚くこともあるかもしれない。便器に一礼くらいは可愛いもので、それ歯ブラシですよ?と非常識な常識人がぶったまげる事もある。

 

広縁。子供の頃、そこは両親の場所だった。

家族旅行で泊まった旅館。仲居さんが敷いてくれた布団のどこで寝るかを争う我々を尻目に小さなテーブルを挟んだ椅子にはいつもとは違う雰囲気の両親がいた。毎日残業で遅く帰ってきて家事を母にまかせっきりだった父の感謝と労い、母のまあいいって事よ、という思いが滲んでいたのかもしれない。或いは毎日残業で遅く帰るせいでご無沙汰の二人、父の凸はとっくにで母の凹もとっくにでYES・NO枕はYES、YES、YESだったのかもしれない。

 

思春期を終える頃、そこは私たちの場所になった。

服に注ぎ込みカード限度額常に埋まった私が夏休みくらいどこか遠くへ行こうかと金をためて泊まった安ホテル。宿に向かう車中ですでにいちゃこらおっぱじめた二人、男の凸はとっくにで女の凹もとっくにで、扉が閉まる間もなく貪りあう。

ワグナーも逃げ出す長き事を終え男女が小さなテーブルを挟み座る。気怠く、二人の膝は赤い。女が暑いね、と言う。男は結露した窓を開けようと錠を外すが押しても引いても、窓は開かない。壊れてるよ、と男は間抜けな笑いを浮かべ、このボタンを押しながら開けるのよ、と女が窓を開ける。

 

暗黒の頃、そこには私だけがいた。私は一人椅子に座り、私を覗き込む暗黒を眺めていた。

 

広縁の籐椅子に座って中庭に目をやると木の枝に美しく光を反射する翡翠がとまっているのが見えた。庭の向こうを流れる清流を眺めているようだ。嘴が見えないから雌雄はわからない。

 

背後で女が何に対して謝罪しているのか、ごめんなさいごめんなさい、と繰り返し、床を濡らした自分の体液を跪いて拭っている。女は自分が悪い訳でもないのに謝る。

浅く挿入されたピストンは静止している。ごめんなさい、女が言うとピストンを包む圧力mgは増加する。ピストンが見かけの接触面を垂直抗力Nで押し返す。均衡しているのだ。準静的に無限に遅くピストンを押し込むが力は極めて微細に加えられ、すぐには動かない。静止摩擦力は漸次増加する。ごめんなさい。ピストンにごめんなさい液体が流入し弩膨するがFは見かけの接触面積に依存しない。真実接触面積はこの際問わない。ごめんなさい、女は言う。粘液がごめんなさい分泌され摩擦係数μは低下する。FがμNを越え、ピストンが動き出す。最大静止摩擦力が破られる。刹那、零れた液体が床を濡らす。ごめんなさい、ごめんなさい。

ソーカル先生ごめんなさい。それでも私は愛する人に、愛していると伝えたいのです。身勝手ながら。