或る時、少年は満たされない自分を知った。

 何処へ翔べばよいのか、いいや翼さえ持たないことを知った。

 或る時、少年は暗空に浮き出た一点に起つ

 自分を見た。

 何処から来たのか記憶も無く、何の為にここに起つのか。

 それを、知らしめる存在も無く、無辺の暗空に唯独り。

 少年は満たされない自分を知った。

 少年は、眼蓋に映しだされる世間との接点すら穿つこと叶わず漂っていた。