村にある唯一の宿屋に案内され

「この部屋を使ってください」

かなり広い部屋に通された

下手したら俺の部屋より広い………

「エイタ、あたしの部屋に比べたら狭いけど、まあいいか」

と言うとサテラは真っ直ぐにベットにダイブしていた

そうですか………サテラの宿屋に比べたら狭いですか…………それはそれは………羨ましくない………羨まし………少し羨ましい……かも

サテラが寝ているベット以外にベットがあと2つあるのが見える

三人部屋なのか………それなら広くて当たり前か

「もう一度言っておきます、絶対にこの部屋から出ないでください、用があるなら電話をしてください」

「もし出たら?」

「さあどうなるか…………知りたかったら出てみたら」

「やめとけエイタ」

「サテラ………」

「拷問マニアが何処かにいて………」

拷問マニア=黒江の事だろう

「とりあえずこの部屋にいたら安全だからそれとあと一人来るから……」

あと一人来る?

「じゃまた明日の朝に迎えに来るから」

そう言うと女は部屋を出ていった

俺はとりあえず復活の石を端っこに置いて椅子に腰を掛け外を眺めてみた

等間隔に人家があり、間には田畑が見えている

街頭がないが月明かりで薄ら明るい

何処にでもある普通の村

しかし何か可笑しい

振り返るとサテラは寝息を立てていた

「疲れたんだろう」

そう言えばあと少しでミルフィーユに戻るのでは……それも最悪のタイミングで…………

今の間に交代の石で変えておこうとポケットを探してみたが

「……………………………」

見つかるのは復活の石と風の石…………

「どうしよう………交代の石がない」

どうしよう………

「何困ってるの馬鹿エイタ」

肩に妖精ちゃんが現れた

「吃驚した!何時からいた」

「さっきまで部屋に帰っていたわよ、それより外に出ようよ」

「危ないからやめておくよ」

「ふーん、やめておくんだ、ビビリね、キチンね、腰抜けね、馬鹿ね」

どうとでも言ってくれ……

怖いものは怖いんだ……拷問が………それより最後の馬鹿ねは関係ないような

妖精ちゃんは両手を前に出すと

「それは横に置いといて………」

何かを挟むように横に動かしてぱっと開いた

「馬鹿でも困る事があるんだ、何かしら、言ってみなさい、聞くだけなら聞いてあげるから」

「それはありがとう」

多分話さなかったら、凄い毒舌が来そうだから、交代の石の事を話したら

「交代の石?……もしかしたらこれかな」

妖精ちゃんはいきなり石を差し出してきた

「えっ?…………」

よく見るとそれは間違いなく

「交代の石………何故妖精ちゃんが持っているの?まさか盗んだとか」

「失礼ね!そんな事しない!欲しいの?」

「欲しい………欲しい」

「欲しいなら、それなりの態度があるでしょう」

それなりの………態度…………多分……あれだな

俺はその場に土下座をしたが

「………ハァ〜馬鹿なの、誰も土下座してくれとは言っていない」

俺は飛び上がると

「じゃどうすればいい?」

「教えて下さい妖精様は?」

そんな事を言わないといけないのか

その上ちゃんから様にランクアップしている

俺は息を整えると

「教えて下さい妖精様」

「却下!……………………心がこもってない!」

やはりこいつは妖精の姿をした悪魔だ

俺は妖精ちゃんを上目遣いで見ながら

「教えて下さいラブ妖精様おねがい

(ばずかしい……まさかこの歳で………)

しかしこれならどうだ

「ハァ〜……………まぁまぁかな、じゃ教えてあげるから馬鹿なんだからメモしてもいいよ」

そこまでしなくても大丈夫だが、書く振りはしておかないと後で何を言われるかわからない

「それをこの貧乏な私に恵んでください、お願いします妖精様ドキドキ、最後のハートは感情を込めて、さあ馬鹿様言ってみよう」

「………………………………」

と誰かが入ってくる気配がしたから妖精ちゃんは姿を消した

「妖精ちゃん……交代の石は?」

呼んだが出てくる気配はない

諦めて入り口を見ると無音が倒れていた