閑静な住宅街に目指す家はあった

「ここがわたしの家か」

とりあえず辺りを見てみると玄関の正面に小さな煙草屋があって、受付にばーさんが座っているのが見えた

さあどうする?

いきなり行って何を聞く

お宅の亡くなった御嬢さんについて教えて欲しい

なんて聞けない

相手に警戒され最悪通報され兼ねない

じゃこれならどうだろうか

昔近くに住んでいた者ですが、御嬢さんに預かった物を返したくて来ました

会えますか?

最初のよりは自然の感じがするがなにか無理がありそうな気がする

近くに住んでいたってどの辺りでしょうかと聞かれたら、更に娘は今いないから預かりますと言われたらどうする?

考えているうちに玄関の前に来ていた

仕方ない

鬼が出るか蛇が出るかだな

意を決して

呼び鈴を押す手が途中で止まる

「どういう事だ」

玄関にあるべきものがなかった

表札がなく長方形の空間がそこにはあった

誰も住んでいない

「あのそこの人」

背後から呼び掛けられて振り返ると

煙草屋のおばーさんが手招きをしていた

「ここの人は」

「もう一年前に引っ越したよ」

引っ越した?

一年前に

「何処に行ったかわかりませんか」

「さあ誰も知らないだろうな。何せあんな事のあといきなり引っ越したのだからな」

あんな事?

「一人娘がいきなり亡くなったんだよ」

わたしの事か

「事故にでも」

「それがわからないんだよ。ある人は事故だと言うし、またある人は自殺だと言う」

「警察は?」

「それが呼ばなかったらしい」

警察沙汰にしたくなかったか

何故?

「それに式もしなかったな」

式もしないか

何か可笑しい

何か見落としている

そうだやることが見つかった

ばーさんに礼をするとその場を後にした