「我はわしゃが見えるのか?」

目の前の女性は問いかけてきた

見た目は普通の女性しかし

手には大きな鎌を持っていて

周りが騒がないのが不思議な

「見えるも見えないも目の前にいるんだからみんな見えているんだろう」


「そう思うか?じゃあれ見てみい」

離れた所に親子がいて男の子が指差しながら

「お母さんあのお兄ちゃん誰もいないのに話しているよ」

「見たらいけません。早くいかないと」

母親は怪しい人物を見る目で通りすぎてゆく

「だろ。見えてるのは我だけだな」

再び女性を見る

鎌を手にしてまるで

「死神?」

「人間はわしゃのことをそう呼ぶ」

「別の呼び方があるのか」

「ない」

「それよりなぜ俺だけしか見えないんだ」

「わからないとしかいえない」

そうしている間にも通行人が不思議そうに通りすぎてゆく

ここにいてはいずれ通報されかねない

「じゃもうゆく」

早くこの場を離れたいと言うのが本音だか

言えないし言いたくない

「もう会うことないと思うが、死神に元気でなとは可笑しいかな」

死神は笑いながら消えた

多分もう会うことはないはず

「今からなら午後からのに間に合う」

駅に向かって走り出した

これが死神との出会いであった