お父さん……4 | ぱるたのTEE*TIME

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日々の色々、徒然なるまま(#^.^#)

アパートを出てボッチの後に付いて、中華街に在る葬儀社に向かう。
 
 
 
裏通りに小さな佇まい。
 
 
 
約十五年振りの対面だ。
 
 
 
当初、『私は見ない。』 と言っていたたえさんも一緒に棺の前へ。
 
 
 
お線香をあげ、手を合わせる。
 
 
 
棺の中を覗くとそこには、随分とおじいさんになった“圭次郎”が静かに横たわっていた。
 
 
 
何故かたえさんの父(㍉のおじいちゃん)にそっくりだった。
 
 
 
た『お父さん、子供達が来てくれたよ。良かったねぇ。』 
 
 
静かに呟いた。
 
 
 
 
外に出ると、街には灯が燈り始めていた。
 
 
 
 
ボッチと翌日の打ち合わせを済ませ、ぱるたとマミーの待つ葉山へ。
 
 
 
 
 
 
 
ぱるたはすっかり暇を持て余し、ダラダラ~ウロウロ~としていたらしく、
ぱ『明日はウチも行く!掃除手伝う!』 
 
 
 
鼻息も荒く宣言していた。
 
 
 
 
その夜、やっと眠る事が出来た気がする。
 
 
 
 
 
 
 
翌朝、バッチリ快晴ぱるたのTEE*TIME-70P700218_DCE.gif
 
 
お掃除日和ぱるたのTEE*TIME-70P700343_DCE.gif
 
 
 
抜けられない仕事が有るボッチは午後から合流。
 
 
 
三人で取り掛かった。
とは言うものの、ぱるたは頭数には……
 
 
 
まあ何とか形にはなってきた。
 
 
 
片付けも終盤、ゴミを一カ所に集めて拭き掃除をしていて気が付いた。
 
 
 
㍉㍑の写真、無かったなぁ。
 
 
 
そこまで考えて思い出した。
 
 
 
離婚してすぐの頃、㍉達は南区へ引っ越して父だけがそれまで住んでいた家にいた。
 
㍉は転校せずにぱるたのTEE*TIME-70P700333_DCE.gifを乗り継いで中学に通っていた。
 
 
 
学校に近い為、昼間は仕事で留守のその家で良くサボっていた。
 
 
 
その時に、父の持ってる㍉の写真は全て捨ててしまったのだ。
 
 
 
父が持ってる訳が無い。
 
 
 
何と自分勝手で残酷な事か。
 
 
 
18歳の時、父の戸籍から抜け、自分一人の戸籍を作った。
 
役所の人に『一度抜けると元には戻れませんよ、財産分与からも外れますが、それでも良いですか?』
 
と念を押されたが、何の躊躇もなく『はい。』と答えていた。
 
 
 
 
 
父を捨てたのである。
 
 
 
 
 
㍉の写真が無い等と拗ねる資格など持っていなかった。
 
 
 
 
 
 
幼い頃、お父さんが大好きだった。
 
年間七日位しか逢えなかったが、帰って来た時は沢山面白い話しを聞かせてくれたっけ。
 
小さな子供と同じ目線で一生懸命遊び、年配者と真剣に語り、面白い事を難しく難しい話しを面白く、どんな相手にも分け隔てなく接する事の出来る“漢”だった
 
器量の良くない㍉をお父さんだけが『㍉さん綺麗になったねぇ!』『別嬪さんだよ!』と言ってくれたっけ。
 
子供心に嘘だとわかって居ても、はずかしくって擽ったくって嬉しかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アパートの片付けが終わると、三日後の火葬である。
 
勿論、墓を持っている筈もなく本家の墓に入れて貰える訳も無い。
 
 
 
つまりは、これが彼の生き様なんだと理解した。
 
 
 
 
 
 
 
 
         つづく