日銀のワーキングペーパー『賃金はなぜ上がらなかったのか』
50ページくらいのペーパーです。
興味深い記述がたくさんありましたが、今回は前書きの要旨をご紹介します。
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景気拡大期(2002~07 年)において、大企業が業績好調にも拘らず、人件費抑制姿勢を維持してきた背景について、上場企業のミクロデータを用いて実証的に考察する。
具体的には、上場企業の人件費を抑制した要因として、
①企業が直面する不確実性の増大
②「世間相場」の低下
③株主からのガバナンスの強まり
④海外生産・オフショアリングの拡大
という4つの仮説を検証する。
実証分析の結果、いずれの要因も、定量的なインパクトに差はあるものの、大企業の人件費を押し下げる方向に働いていた可能性が高い点が確認された。
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実は他の要因についても可能性を示唆しているのですが、それは次の機会にでもご紹介したいと思います。
今回特筆すべきは、ミクロデータをもとに検証した点です。
マクロではなくミクロをもとにした理由を以下のように述べています(私の意訳)。
○日本企業は労働力を労働市場全体を見て考えるよりは、自社固有のものと見る傾向がある。
○労働生産性の企業間格差が拡大している。
労務管理を考える上で、示唆に富むものでした。