第九十九話――盾の天使、天かける麒麟―― | へりこにあんの駄文置き場★

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基本的に私のデジモンの二次を置いていきます。

原作キャラ無し、独自解釈独自設定多分に有りなので苦手な方は回れ右ですね。なんでも許せる方向け、なんて言葉が当てはまるのかななんて思います。なんでもは許せないよという方は回れ右してください。

「えぇ、やだわぁ。いいじゃない、貴方はその子達を受け入れる気でいるんでしょぉ?私、ここにいたいのよぉ、働きたくないし城から出たくないの」

紫色と黒の和装とも洋装も言えない、色気を醸し出すためだけに作られた様な装いをしたその魔王は紫色の口紅に彩られた艶のある唇からそんな残念至極なヒキニート発言をしつつ、視線を惹きつける深い闇の様な髪を弄んでいた。

右手の黄金の毒爪、ナザルネイルも今はそんな役目等知らないというかの様に傍に置かれた菓子を摘まむのに使われている。汚れても毒で溶かせるから衛生的なのよと始めて言われた時は頭の金の簪を引き抜いて目玉に刺してやろうかと思った。デジモンにしては比較的小振りな何の役にも立たなそうな二本の角を掴んで投げるのも捨て難い。

背中の四枚の羽は読んでいる本が面白いのかパタパタと楽しそうに動く、すでに視線は私では無く本にある。頭の中と外見と肩書きが一致しない、これが私の上司であり七大魔王が一体色欲のリリスモンだと思うと溜息が出る。

「……少し運動不足なのではありませんか?」

槍と盾を構え、全身の感覚を針の様に研ぎ澄ます。結局リリスモン様が働かないのは構って欲しいからというだけだ、私も最近忙しく時間も取れなかったからこんな風に立ち合う機会も無かった。

「あらぁ……久し振りに直で会えたかと思えば積極的ねぇ……でも嫌いじゃないわよ?」

ちょうど右手に摘まんでいた菓子が目の前で毒に溶かされデータに帰り、リリスモン様が立ち上がれば私の殺気とリリスモン様の殺気がぶつかり合って聞こるはずのない鍔迫り合いの音を起こす。

行儀は悪いが窓を開け、城から外へと出る。城の中でそんなことしたら潰れて跡形もなくなる。城から離れるのは防衛的な面で問題があるのですぐ近くに掘られてしまった大穴の底へと着地する。微かに紫色の霧が漂っているその場所は相変わらず草木一つ生えない死の大地、常に溶かされていて柔らかい土壌は力強く踏みしめるわけにはなかなかいかない。

しかし地面に気を持たせていられるのも一瞬、上から抱擁を求めるかの様に手を広げ笑顔を浮かべたリリスモン様が落ちてくる。しかしその抱擁を受けたならば即座に永遠の眠りに包まれることになる。

大盾を掲げ、そこから腐食の波動を起こさせる。その波動は預言者を裏切った弟子を閉じ込める牢獄、そんな意味の名を持つ技、受ければ何物にも代え難い痛みや苦しみの中で体の機能は失われていき適性を持たなければ並でない究極体でも枷にかけられた囚人の様に身動きできなくなり魔槍に貫かれる。しかしその腐食の波動も同じ腐食の力と闇の力をその体に宿す七大魔王リリスモン様では衣を溶かすこともてきずただの物理的な波動となる。

「誘っておいて突き放すなんてつくづくいけずよねぇ」

普通の手合ならば飛んできた勢いが相殺されて無防備に止まるのだがそうはいかないのがリリスモン様だ。

「でも私そこそこ肉食系なの」

波動が当たる前に目の前に左手をかざし指で魔方陣を描き波動を相殺、すり抜けて右手を振りかざす。

「肉食系もほどほどにされないと、はしたないかと。逃げられますよ?」

盾を投げて毒爪を弾き、持ち上げられた二の腕を左腕で掴み右手の魔槍を構える。一瞬の隙も生じない神速の突き、いかにリリスモン様といえど瞬時に張れる程度の魔方陣で防げるものでは無い、仮に一撃防げても瞬きする間に放てる突きは一撃では無い。

「貴方は逃げないでしょう?」

そう言ってリリスモン様は私の槍をその左手に刺すことで受け止め、その上で槍を掴み引き寄せ体を密着させ、背中に右手を回す。

逃がさないし、とリリスモン様は妖艶に笑う。肉を切らせて骨を断つとはよく言ったもので私はこの一瞬で命を握られてしまった。

槍は封じられ、盾は自ら手放し、リリスモン様の毒爪が背中に回されている。さらにリリスモン様の種族としての技はまだある、口から吹き出される腐食の毒霧。私のそれよりも強力なそれは適性なんて関係無いとばかりに私を殺しに来る。一度右腕を奪われ肩から切り落として一命を取り留めた事もあった、その時の縁故に私はここにいるわけだが。

「私は騎士ですので」

リリスモン様の掌から槍を抜かずに手を離し、そっと肩を持って適切な距離を測る。若干不満そうな顔をリリスモン様は私に向けるが生憎と私にはそうする感情がよくわからない。

「……そうやって距離を置く、主従以上が私は欲しいって知ってるでしょぉ?」

そう言われても主従以上が私にはわからない。同種の繁殖の無いデジモンに人間で言う恋愛感情は基本存在しない。数少ない例外が色欲の罪であり、その感情を当時のパートナーから受け取ってしまったのがリリスモン様だ。恋愛感情には二十五年前に色々と嫌な思い出があるがリリスモン様のそれに関して私は悲しい定めだと思わざるを得ない。

並のデジモンには絶対に恋愛感情はわからない、私だってパートナーのナオヤはいるし恋愛感情を持つ者は見たもののそれを知っただけ、他よりも理解はあるだろうが理解できているわけでは無い。そしてパートナーデジモンである私はリリスモンという種の寿命に着いていけない、いや、同じ様に転生するデジモンでなければリリスモンという種と一緒にいることはできない。それも永遠だ、恋というものはいずれ冷めるものらしい。

「私は騎士、下に付くのが性に合います故」

リリスモン様の手を取り槍を慎重に抜けばそこから再生して行く。これを始めて見たものは魔術によるものと考えるがこれはリリスモンという種の特性だ。毒は体内で生成され、その毒は常に体を削ろうとする、しかしそれに耐え軽度のダメージを無視できる見た目とは裏腹の防御力と再生力、派手に見える能力は簪や袖と同じ飾りだ。

「さぁ、働きましょうか。リュウタはいいとしてもアイの名字はクロキです」

名のあるデジモン達の間では絶対に召喚してはならない人間として私のかつての仲間、クロキ カスミの名前は知られている。その抜け目無さと頭の回転には仲間だった頃は助けられたが裏切るかもしれないと知っていてそれを抱え込むのはごめんだ。しかし殺すこともできない、保護が必要な弱者という点では他のデジモン達と何も変わらない、心情的にもできない。

「カオスデュークモン、私は誰?七大魔王?いえ、私は暗黒の聖女リリスモン、深い闇の様に全てを受け入れるのが私。救われぬ者に安息の闇を与え安息を妨げる光を退けるのが私達、そうでしょう?元の世界に戻りたい、その望みを叶えるために利用される、結構じゃない。すでにクロキは一人抱え込んでるんだしまさかパートナーデジモンを連れて元の世界に帰るわけにも行かないでしょう?だったらパートナーデジモンはここに置いて行かざるを得ない、早々問題も起こさない筈よ」

だから様子見ましょぉ?と言うリリスモン様は言葉を紡いでいた時とは表情が違うし口調が違う。語尾も視線も緩まない、でも言い終わると緩みさりげなく腕を取ろうとするのは如何なものか。

「他にも事務仕事はいくらでもあります。アスタモンやヴァンデモンだけが問題を起こしたわけでは無いと知ってもらわなくては……ベルゼブモン様の姿も観測されましたしね」

まぁ最も大きな問題はやはりヴァンデモンが城を失ったことに関係する一連のことなのだがそれに関しても処理は終わっていない、やることはいくらでもある。

「えぇ……ベルゼブモンとか会いたくないわぁ。元カレと会うのって嫌なのよねぇ……頭身低い子の方が好きな変態だし、暇さえあれば私の部下の子達に会いに行って構ってくれなかったし、デリカシー無いし、パートナーと比べるし、ずっと研究ばっかしてるし、プレゼントが自作の魔道書とか無いでしょ本当、私が使いやすいよう調整されたものだから未だに使ってるけどその内容も無駄に実用的で浪漫の欠片も無いんだもの、いつだってパートナー優先だし……」

リリスモン様がめんどくさい、働きたく無いと地面に寝ようとする。ベルゼブモン様の話題を出したのは大分湿原だったらしいが、それを踏まえてもこういうすねる様なことは上に立つものとしてやめて欲しいところだがもう治らないだろう、性格を矯正できる年齢は千年以上前に過ぎている筈だ。

仕方が無いかと横から肩と足を抱えて横抱き、所謂お姫様抱っこというやつをする。抵抗されるが膂力自体は私の方が上だ、爪を突き立て毒を送り込まれでもしなければ抑え込んで運ぶ等難しいことでは無いし、何故かリリスモン様も恋愛感情を持つ者はこれを喜ぶのだ。

私はデジモンだから楽だが人間にはきついだろうにカスミもミキも意中の相手に横抱きされることを望む。

ミキをキョウトは時折横抱きしていたがその後女性陣に見えないところで腰をマッサージしてもらっていたからやはり辛かったのだろう。ヒロユキは足を怪我した時やグランクワガーモンに暗黒進化させたカスミを横抱きしてそのまま走るなんて芸当をしていたが、多分あれは人間という種では稀なのだろう。ヒロユキは明らかに体格が良くユウヤは頭の良いゴリラとか言っていた覚えがある、ナオヤはもうあの時のキョウトに近い年齢になりあの時のヒロユキの年齢を超えたが果たしてそこまで力強くなっているかははなはだ疑問だ。

「パートナーのこと考えてたでしょぉ……せっかくお姫様抱っこしてるんだからもう少し体よせてきたりとかしてくれてもいいのにぃ」

「あくまで私の立ち位置は騎士ですから。横抱きも働いてもらうためです」

ナオヤといいリリスモン様といい私は手のかかる相手を支えたい願望でも持っているのだろうか。そう思うとため息でも出そうだが騎士が君主のことでため息を吐くわけにはいかない、心の中にそっととどめておくことにしよう。










デジモンは死んでも遺体が残らない、故にある慰霊碑。その前に跪いて泣く図体のでかい天使の祈りが終わるのを待つ。その姿はより悲しく、しかし私は哀れむ気にはならない。私だって一歩間違えばこうなっていたかもしれない、例えば生まれが獣型でなければ、仕える相手が違えば、考えればそこに限りは無い。むしろあるのは一つの恐怖だ。

「……君の部下も犠牲にしてしまった」

そう呟くのはドミニモン、《始まりの町》に最も近い【光】の拠点たるこの城の前城主にしてケルビモン様がショウ達に接触するために異動させたデジモンだ。でもセラフィモン様はそのドミニモンを筆頭とした遊撃部隊を一つ組織しここに派遣した。

「私の部下は多少精神汚染こそあるものの数日もすれば元に戻ります」

死んだのはドミニモンの部下のホーリーエンジェモンだ。私の部下のピッドモンはライラモンという種による精神汚染を受けたがそれだけ、さらに言えばそのピッドモンも元々はドミニモンの部下であり仮に死んだとしてもきっと私の指揮で死ぬよりはまだ納得がいくだろう。

「……相変わらず君の視線は私を哀れむ様だなチィリンモン」

「そんなことは無いですよ、ただ私はあなたの考え方を認められても同調できないだけです」

ドミニモンは典型的なセラフィモン様の率いるデジモンの一体であり、規律をもって管理することで世界を平和にすることができると考えている。が、その中でも急進派であることには間違いなく私達とは同じ【光】でありながら違う考えを持つ一派だ。

そしてドミニモンが遊撃部隊の様なことにも自らをやっするのはケルビモン様が目をかけるショウ達とは違う、それしか方法が無いからではない。いや、ある意味では確かにそれしか方法が無いからではある。そうせずにはいられないからドミニモンはそうするのだと私は知っている。

「そうだな、だが私の意思は変わらない。改めて、そして何度でも同じことを言うとしよう。私の部下が仲間が命を落としながら目指したものを何故私が諦めてこれ以上血を流さない等というその命を無駄にする様な行動は取らない。私はそのためならば自らが傷つき自らの手を汚す」

その考えを認めないわけに行くだろうか?私は戦争自体をやめてしまいたい、これ以上血を流さないために。私は今生きているデジモン達をと考え、彼は死んでいったデジモン達を両腕の盾で守っている、考えることの重視する点が違う、それだけであってその考え方を否定するだなんてことはできない。

「そうですね、私にそれを止める権利は無いでしょう。ただ、命を投げ捨てる様なことが無い様祈っていますよ、志は違えど同期の仲ですからね」

「……ありがとう、ただ犬死することは無いと君との友情にかけて誓おう」

そう言ってドミニモンは私の横をすり抜けて一二歩行ってふわりと飛んで行った。私が振り返ってもドミニモンは振り返らず、その視線はただ前を見据えている。

「私は死なないで欲しいと、そう言ったのですが……ね」

究極体と同じぐらいの力があると言われている完全体の一体である私の力があればドミニモンを手助けし生かすことはできる、でもそれは別の私の守るべき生かすべき命を危険に晒すことであり戦争を激化させることでもある。

トン、蹄が地面を叩く。軽い音だ、とてもとても軽い音だ。













ちょっとサイドに意識をやってみた話。うちのリリスモンはニートですが、行動すると死別する相手が増えるからとか割りとシリアスにふざけるキャラです。そしてドミニモンを単なる悪役にしたくなかったんですよね、せっかくなんで。


さて、実は皆さんに謝罪しなければならないことがあります。前回座談会の質問を受け付けるのは今回までと言っていましたが前に書いた要項には今回、九十九回までと書いていました。なので今回まで受け付けます。


では!