イヤギボウシの見分け方 Identification of H. capitata | 温泉とギボウシ・・・ときどき猫

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イヤギボウシは 徳島県 祖谷(いや) に自生している

その学名 Hosta capitata といい 「 頭状の 」 と言う意味


植林杉林の荒廃と 鹿の食害で 一時は絶滅寸前となったが

絶滅を危ぶんだ 高校教諭が種を採取し 繁殖に取り組んだ

県立城西高等学校と 東祖谷中学校 そして祖谷の人たちのおかげで 増殖され 自生復活となった



それでは イヤギボウシ 同定のポイント


①  『 葉は 心形 葉表は艶がない緑色 片側脈数は7~10本 』
   『 葉縁は 弱く波打つ 』
   『 葉脚は 葉と茎が はっきりと 区別できる 』

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上は 城西高校で増殖された個体

いわゆるカンザシギボウシに比べて 葉が大型で 葉身幅が大

カンザシギボウシの葉脚が 切形なのに対して イヤギボウシは 心形



②  『 葉裏脈上は 弱くざらつく 』

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このザラツキが カンザシギボウシと 見分けるポイント !

カンザシギボウシでは ざらつかない~ごく僅かにざらつく程度

オオバギボウシほど 顕著にざらつかないが 触れば 確認可能



③  『 花茎は 稜状 』

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カンザシギボウシに 同じ



④  『 花茎の先端に 花が集中する  苞は開出せず 開花後に萎れ始める 』

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この花のつき型は カンザシと同じ  苞の萎れは カンザシよりも やや遅め



⑤  『 花は濃い紫色 白い奥中央部に 脈が一本はっきりと入って 独特な色彩 』  

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この花の色彩型も カンザシギボウシに同じ 



⑥  『 花期は 6月~7月 』

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花期も カンザシギボウシとほとんど同じ



カンザシギボウシと イヤギボウシ かなり近縁な種 と言える

イヤギボウシをカンザシギボウシとするか 否かについては まだまだ 検討の余地があるが

ここでは DNA解析 の結果を重んじ 別種として 扱った


高校教諭が危険を感じ 採集した数粒の種 

それが 子供たちの手で 大きく広く 拡がった

開発 荒廃 ・・・ 絶滅傾向にある ギボウシならば

種を 採っても 罰は当たらない そう思える 好例を知った


【 追記 】

1940年 前川博士によって記載されたイヤギボウシだが、
1950年 前川博士による「園芸大事典」では紹介されておらず
1980年 前川博士による「趣味の山野草」ではカンザシギボウシ(H. nakaiana)の自生地として 祖谷渓谷が紹介されている。
1976年 藤田博士はカンザシギボウシを H. capitata として記載している。

したがって、現在はイヤギボウシはカンザシギボウシの丸葉型の一型と考える向きが主流である。