花屋から電話がかかってきた。

「もしもし、テツコさんですか? 花屋です。今から花をお届けに伺いますがよろしいですか?」


???


「え、何のことか、さっぱり分からないんですけど・・・それに、今家にいないから・・・」


プツ。 ここで電話が切れた。 電波が急に悪くなってしまったのだ。


何のことだ? 花? 頼んだ覚えないぞ。 ? 大家がなんかやったか? 聞いてないぞ。 ? 押し売り?



まぁいいや。きっと変な人だろう。 気にしないでおこう。





次の日、Sからメールがきてた。

"昨日変な人から電話かかってきたでしょ。 それ、僕からのサプライズだから。 もう一度届けてもらうようにするから、その時はちゃんと家にいるんだよ。"


なんてこった!  そういうことだったのか!

メールを読んだ後すぐさま彼に電話した。 このサプライズは、この間私がくだらない事で怒ったことに対するお詫びらしい。

まぁー。 わざわざ中国からテツコに花を贈ってくれただなんて。 嬉しいことこの上ないわ。
なんてロマンチック。 年上の男はやっぱり違うわ・・・ドキドキドキドキドキドキ



その後早速花屋から電話がかかってきた。

「もしもし、テツコさんですか? 花屋です。 今から住所を言うので、花を取りに来てください。住所はー・・・」

は。 なんで。 何でサプライズなのに、プレゼントなのに私がわざわざ取りにいかにゃならんのだ。
まー、どーせ大したことないだろう。 どれ。取りに行くか。 


なんて高を括って花屋に出向いた。 大きなバラと百合の花束をもらった。


帰り道、私は道の真ん中で大声で笑いそうになってしまった。 かっこよくしたかったんだろうな。 予定通り私が花を受け取って、「きゃー!かっこいー!」って思って欲しかったんだろうな。 スマートきめたかったんだろうな。 

それなのに、彼女はとんちんかんで、仕方なく事の繊細を打ち明けてサプライズは台無し。その上わざわざ花屋まで出向かせて花を受け取りに行かせた。
これを間抜け以外の言葉でなんというのであろう。


それでも可愛いから、大好きなんだけどさ。



Sが中国に行く前に約束したことがある。

"ONE NIGHIT LOVEはいいけど、TWO NIGHIT LOVE、ONE WEEK LOVE、ONE MONTH LOVEはナシね。
そして、もしone nighit love をしたら必ず報告すること。"


この約束を付きつけたら

「わかった。テツコも同じだよ。 ONE NIGHITだけね。 ちゃんと報告するんだよ」

と返ってきた。



彼のいいところはバカ正直なところである。 
昔の奥さんの事を聞いたら何でも正直に答えてくれるし、昔の彼女の事も聞いたらすべて話してくれた。

"昔の女リスト" なんてものを作ったら 「テツコは可愛いね」 と呑気に笑っていた。



母と彼は2週間後、異国の地・上海で会うらしい。
その時、どんなことをバカ正直に母に話してくれるのだろう。 全く、楽しみだ。

Sが帰ってくるまで、あと一か月だ。
早く7月にならないかな・・・なんて思ってた矢先にメールが来た。

元気?
今日中国の上司に もっと長く中国にいてくれないか? ってプロポーズされた。正直、最近中国での仕事が楽しくなってきた。
でも、僕はテツコが寂しがってるのをちゃんと分かってるよ。だから予定通り帰ります。もしもテツコがいなかったら、もっと中国にいたかも。
夏が楽しみだね。




こんなメールを送ってきて、何を考えてる。



腹が立つ。

私の為に? 馬鹿な女一人のためにやりたいこと断ったの。馬鹿じゃん。
中国にいたいなら1年でも2年でもいればいいじゃないか。 私の事なんて考えないで好きなことしろよ。 私のために自分を犠牲にするな。私がいるからやりたい仕事を蹴ったなんてのはまっぴらだ。
 

それともなに。 仕事より私を選んでくれたのね! 嬉しい! と喜ぶとでも思ったのか。

友人のMCに話したら
「どちらにせよお前はギャーギャー言うだろ。帰ってくるんだから素直に喜べよ。」

母にも同じ事言われた。


結局予定通り帰ってくるらしいけど、どうも素直に喜ぶ気になれない。


可愛くないね。